長引くと日本は損する?鎖国状態で受ける経済的な損失やデメリットについて
Rows of benches in the hall of airport

日本の鎖国状態が最近メディアでも話題になっていますが、時代背景の変化による日本の水際対策は、海外からあまりよい評価をされていないという話もどんどん増えています。
そこで今回は、日本の鎖国状態が続くとどのような損失があるのか、経済的なデメリットについて詳しく検証していきましょう。
 

外国人入国を全面禁止した背景とは?

時代背景における各国の対応はさまざまですが、在宅勤務にも慣れてきた一般人にしてみると、そろそろ海外旅行に行きたいという人もいるでしょう。
緊急事態宣言が何度も発令されている日本。外国人の入国を全面禁止したのは、国内の深刻な感染状況を踏まえたためです。さらに海外からの変異株が確認され、国民の不安を取り除くためにも外国人入国は一時的に全面禁止となりました。
しかし入国禁止になっているのは旅行客だけでなく、ビジネス目的も対象になっていますので、日本経済にも徐々にデメリットが出てきているのです。

 

鎖国状態で海外に与える損失

日本の徹底した水際対策はあらゆる意見があるようですが、日本をビジネスパートナーにしている外国にとってはかなりの損失があることも事実。
日本政府に入国制限の緩和を求めた在日ドイツ商工会議所は、日本でのプロジェクトを推進するための専門家が日本に入国できず、ドイツ国内の企業が苦しんでいるとのことです。
さらに日本の鎖国状態が長引き、日本向けの事業を縮小したり、別の国へ拠点を移す企業も増えたりしているとのこと。在日米国商工会議所からも、日本が将来的に信頼できるビジネスパートナーなのかどうか疑問を抱いているというコメントもあります。
入国制限は国内だけでなく海外にもダメージを与えており、アメリカの製薬会社ギリアド・サイエンスでは、日本法人に新しく選任された社長が入国できずに、オンライン上で限られた事業展開をしているケースも。
このような徹底した対策は日本国内では歓迎されているようですが、外国人の入国緩和を決めたオーストラリアや欧米、フィリピンなど、産業競争に日本が一歩出遅れてしまっている印象があるのは否めません。

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損失はいくら?

日本の鎖国状態はヒトもモノも行き来がストップしてしまい、物質的な利益だけでなく日本への不信感が高まると、将来的な経済デメリットにつながる可能性があります。
すでに日本国内にも影響が多く、海外工場を持つ金属加工会社では、日本人技術指導者を工場のあるベトナムに1か月ごとに派遣していたのが入国制限によりストップ。
そのために赤字が続き、現地で1日できる作業がオンラインや物の郵送で時間がとられ不効率になっているという問題もある様子です。国内でもひと際目立つ観光消費損失は、ひとつの自治体だけでも数千億円単位になるところもありますので、海外との交流がなくなればさらに負担も増えてしまうでしょう。

留学生も他国へ流れる?

影響を受けているのはビジネスだけでなく、学校閉鎖による学生たちの学力低下も問題に。アメリカのリサーチ会社によると、生涯を通じて得られるはずの収入が学力低下により失われる金額は、世界全体で約2千兆円にのぼるとの試算があります。
日本の鎖国で離れるのは、海外の企業だけでなく留学生の日本離れも加速状態。たとえ入国制限が緩和されても、外国人留学生の入国者数は制限されるため、すでに日本以外で留学する人も増えているのです。
国内の日本語学校は制度が激減。在留資格があるのに日本に入国できない留学生は、2021年末で15万人もいるとのことです。他国へ留学生が流れてしまうことは、将来的な日本の労働力にも悪影響があることは想定されるでしょう。

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入国制限は緩和へ

3か月ほど続いた厳しい日本の入国禁止措置でダメージを受けた外国との関係。批判的な声が諸外国から高まり、日本では3月より水際対策を緩和すると発表しました。
これまで1日3500人だった入国者の数は1日5000人に増え、現段階で入国後の自主待機期間も条件つきで7日間~3日間に短縮する予定です。スポーツ界でもプロ野球とJリーグは新規契約の外国人選手の入国を緩和してもらうよう政府に要望。各分野でも徐々に鎖国状態から解放される動きは見えてきたようです。
 

鎖国で日本は強くなれる?

江戸幕府がキリスト教を禁止して外国貿易を制限した「鎖国」。当時の日本は海外から入ってくるものが減り、結果的に自国で作ることになりました。
そこから生まれた絹織物の生糸はもともと中国輸入に頼っていたものですが、日本は鎖国をしたことで逆に開国後に強くなった一面もあります。
このようなメリットが今回得られるかどうかはわかりませんが、日本企業のグローバル化が進み、外国人従業員が多い企業増えています。海外工場も拠点はアジア、欧米など色々ですが、時代が変わり鎖国状態で失うもののほうが今は多いといえるのかもしれません。
 

まとめ

日本の鎖国はお金だけでなく、日本の存在感にもあらゆる影響を与えるのでしょう。通常に戻るにはまだまだ時間はかかりそうですが、海外との交流なしでは苦しい状況が続きやすい時代なのかもしれません。


 

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