NTTの目標で話題のカーボンニュートラルとは。経済効果は2050年で190兆円?

NTTグループが2040年度までに温室効果ガス実質ゼロを掲げる

9月28日、NTTグループはNTT東日本、西日本などを含むグループ全体で、2040年度までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするという、新しい目標を発表しました。
 
これは​​IOWNと呼ばれる光技術を使った半導体を導入して、通信ネットワークでの電力消費を大幅に抑えるものです。
今後データセンターや基地局、通信機器などに導入することで、削減効果全体の45%を見込めるとのこと。
 
さらに、太陽光発電などの再生可能エネルギーの活用で45%、残りの10%は省エネを進めることで実現を目指すそうです。
政府のカーボンニュートラルの目標時期は2050年であるため、10年早い目標設定となります。
 
NTTによる試算では、2040年度以降、国内の電子半導体の半分を光技術を使った次世代半導体に置き換えると、日本全体で2000万トンの温室効果ガス削減につながるといいます。
 
NTTの澤田純社長は会見で、「自社での削減に合わせて、社会全体の温室効果ガスの削減にも貢献したい」と発言しています。
 

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カーボンニュートラルとは


では、そもそもカーボンニュートラルとは何を指すのでしょうか。
これは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることを意味しています。
 
2020年10月、菅義偉内閣総理大臣は第203回臨時国会の所信表明演説にて、「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言しました。
 
「排出を全体としてゼロ」とは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量から、森林などによる吸収量を差し引いた値を、実質的にゼロにするということ。
 
カーボンニュートラルの達成には、温室効果ガスの排出量の削減・吸収作用の保全及び強化が必要とされます。
 
地球規模の気候変動問題の解決策として2015年にパリ協定が採択されましたが、そこで世界共通の長期目標として掲げられたのが、「世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求すること」です。
 
これは2℃目標とも呼ばれています。
この実現のために、日本を含む120以上の国と地域が「2050年カーボンニュートラル」という目標を掲げました。
 

カーボンニュートラルの経済効果は2050年で年額190兆円

菅義偉首相が宣言した2050年カーボンニュートラルを踏まえて、経済産業省や関係省庁は「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を発表しました。
このグリーン成長戦略では、地球温暖化への対応を制約としてではなく、経済成長の機会と捉えています。
 
ライフスタイル関連産業や住宅・建築物産業をはじめとする14の重要分野ごとに、具体的な課題や見通し、行動計画を提示して成長を期待しています。
 
国が民間企業にとって挑戦しやすい環境を用意することで、2050年カーボンニュートラルは経済と環境の好循環に繋がるのです。
そして、その経済効果は2030年で年額90兆円、2050年で年額190兆円程度にもなると予想されています。
 

カーボンニュートラルによる生活への影響


(出典:dentsu
 
電通が2021年8月に発表した、全国10~70代の男女計1,400人を対象に実施した「第2回カーボンニュートラルに関する生活者調査」の結果を見てみましょう。
 
上の図は、『Q. 2050年のカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向けて、国・自治体や企業・団体等が様々な取り組みを行っていく上で、関連する衣食住や移動などにおける追加の費用負担は、月いくらくらいまでであれば、上乗せされることが許容できますか。それぞれについて、あてはまるものをお知らせください。』
といった設問への回答です。
 
電気代の値上げに関しては、501円以上の値上げを許容する人がもっとも多くなっています。
ガス代の値上げ、水道代の値上げに関しては、500円以内の値上げであれば許容する人が最多数です。
 
通信費、保険代、医療費の値上げに関しては、500円以内の値上げを許容する人、501円以上の値上げを許容する人の数が拮抗しています。
 
もしもこの図のように、各企業が許容されるであろうと判断した額の値上げを実行するならば、さまざまな業界の商品・サービスの値上げが行われることとなります。
個人の生活においては、金銭的に苦しくなると感じられる方も出てくるかもしれません。
 

それでもカーボンニュートラルは支持される

(出典:dentsu
 
とはいえ、地球温暖化は地球に住む人ひとりひとりが意識しなければならない問題です。
電通が2021年6月に発表した、全国10~70代の男女計1,400人を対象に実施した「第1回カーボンニュートラルに関する生活者調査」の設問『Q. 「カーボンニュートラル」の実現に向けて取り組む企業に対する評価を教えてください。』の回答を見てみましょう。
 
「応援したい」の項目では、そう思う・どちらかといえばそう思うを合わせると、その数は71%にも上ります。
カーボンニュートラルへの取り組みは、企業イメージ向上に繋がるということですね。
 
NTTが新たに掲げた目標により、日本でさらに注目を浴びているカーボンニュートラル。
地球のために、未来のために、たとえ値上げが必要となったとしても、応援していくべきかもしれません。
今後の動向に注目していきましょう。

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