岸田総理が発表した前例のない思い切った対策とは?

2022年10月3日に招集された臨時国会の中で、岸田総理が所信表明演説を行いました。「物価高・円安への対応」「構造的な賃上げ」「成長のための投資と改革」の3つを重点分野として取り組むことを掲げ、前例のない、思い切った負担緩和対策を行いたい」と述べました。

 

「前例のない、思い切った対策」とは果たしてどのようなことなのでしょうか。今回は、この対策内容についてデータを用いながら深掘りしていきます。

前例のない施策とは?

岸田総理が表明した「前例のない施策」とは、高騰が見込まれる電気料金の負担軽減のことです。なぜ電気料金にこうした施策が必要なのでしょう。また施策内容はどういったものなのでしょう。

目的は電気料金の負担減

岸田総理が重点分野の1つとして掲げた「物価高・円安への対応」の中でも、電気料金はとりわけ高騰が予想されています。以下のグラフをご覧ください。

2022年に入ってから、電気料金の単価は値上がりし続けています。発電に必要な石炭や液化天然ガスの高騰に加えて、円安による物価上昇の影響を受け、今後も料金が上がることが予想されます。

 

物価高で相次ぐものが値上げされ、家計への負担は増える一方です。加えて、電気はいまやなくてはならない重要インフラとなっています。電気は私たちの生活と密接に関わるため少しでも負担を減らしたいというのが、国の意図のようですね。

今後の展望は定かではない

「前例のない施策」の具体的な内容については、所信表明の中では触れられていません。経済再生が最優先課題だと語る岸田総理ですが、今後どのように施策を進めていくのでしょうか。

「ガソリン補助金」は賛否を呼んだ

過去の施策を振り返りましょう。

 

2022年1月に始まったガソリン価格高騰の抑制では、燃料油価格激変緩和補助金(ガソリン補助金)を燃料油元売り業者へ支給しました。元売り業者の負担が減った一方、国民が支払うガソリン料金に変化がなかったことから、賛否が上がっていました。

 

「前例のない対策」であることから、ガソリン補助金とは異なる手法で組み立てていくことが予想されます。

電気料金に対する岸田総理のスタンス

電気料金の負担軽減支援に関する岸田総理の考え方も、ガソリン補助金のときとは異なるようです。臨時国会招集から9日後の2022年10月12日に、岸田総理は電力事業関係者との懇親会で次の2点について要請をしました。

 

  • 電力の供給量の確保
  • 電気料金の負担軽減への対応

 

2022年6月に初めて「電力需給ひっ迫注意報」が発令され、政府が節電を呼びかけていたのは記憶に新しいでしょう。(※6)燃料の高騰などの現状に理解を示しながら、供給対策と、電気料金の負担軽減対応を依頼していました。

 

岸田総理はこの際「国からの巨額の支援金が電力会社への補助金ではなく、すべて国民の負担軽減に充てられることを明確に示す仕組みとしなければならない」旨の発言をしています。支援金が国民にどのような形で充てられるのかはまだ不透明ですが、国民が負担軽減を実感できる仕組みとなるのを期待したいところです。

ガス料金については不透明

一方、気になる点もあります。ガス料金に関してです。

 

電気料金に加えて都市ガス料金も値上げが続いていますが、所信表明では都市ガス料金に関することは触れられていませんでした。都市ガス料金の値上がりの推移については、下のグラフをご覧ください。

 

電気料金以外の物価高に関してはどのような対策をするのか、注視したいですね。

施策の詳細を待とう

「前例のない施策」は2022年10月時点では今後の展望は定かではありません。想定される取り組みとしては次のものが考えられるでしょう。

 

  • 電力会社への補助金支給ではない仕組みの支援策
  • 国民が直接負担が減ったことを実感できる支援策

 

概要が発表されるのはまだ先になりそうです。しかし電気料金は来春にも急激な高騰が予想されています。結論が出るかどうかも含めて、続報を待つのがよいでしょう。

まとめ

ここまで、岸田総理の掲げた「前例のない施策」の対象と内容について深掘りしました。岸田総理は電気料金の負担軽減のほかにも、次のような施策を発表しています。

 

  • 訪日外国人の消費増(年間5兆円が目標)
  • 転職などに向けた学び直し支援(5年間で1兆円に拡充)
  • 雇用形態を年功型(メンバーシップ型)から職務給(ジョブ型)へ移行
  • スタートアップ企業の増加計画の策定

 

いずれも経済再生の施策として掲げられています。より時代に即した施策・支援となる期待もありますが、国民への負担の有無が心配されます。また、雇用形態による賃上げ支援は、私たちの家計や資産管理にも影響があるものと想定されるため今後の動向が気になりますね。

 

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