払い済み保険のできる3つの保険について|気をつけるポイントについて

払い済み保険とは

保険の始まりは、紀元前2世紀ごろの古代中国やバビロニアが、その発祥とされています。
当時は治安も悪く、荷物を盗まれたり、事故などにより荷物を失うことも少なくなかったからです。現代社会においても、私たちの暮らしに保険制度は欠かすことはできません。
 
家やマンションを購入した際にも、賠償責任保険や住宅火災保険は必須で、通常の暮らしでも自動車保険や自賠責を始め、生命保険・学資保険・医療保険・介護保険など、実に様々な保険商品が提案されています。
そのほとんどが、皆さん聞き慣れた事のある保険商品ばかりですが、「払い済み保険」といったものをご存じでしょうか?
 
払い済み保険は、今までの分の解約返戻金を利用して、保険料を支払うことができる制度のことで、保険金によって積み立てられた金額を、そのまま残りの保険料に充てるといった方法になります。
しかし、どのような保険商品にでも対応できるわけではなく、いくつかの条件もありますので、メリットとデメリットも含めて、分かりやすく解説していきましょう。
 

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保険料の支払いが困難になった時に使える


払い済み保険は、火災保険のような特定な商品というわけではありません。つまり、特定の保険商品に対して、保険料の支払いが困難になった際に、利用する事のできる仕組みといった方が分かりやすいと思います。
 
昨今では、新型コロナウイルスの影響で、職を失ってしまう方も多く、収入が途切れてしまった為に、保険料が支払えないといったケースが増えています。
 
もちろん、災害で被災された方、けがや病気などで働けなくなった方も同様で、そうしたお金に困窮された方が、残りの保険料を支払うことのできる方法だということです。では、払い済み保険とは、具体的にどのような仕組みなのでしょう。一般的な保険は、支払い期間が定められていますが、支払いが困難になった場合に利用します。
 
つまり、本来受け取れるはずの保証額を減らすことにより、残りの期間を払い済みにしてしまうということです。つまり、前倒しして保険料を支払ってしまいますので、残りの期間は保険料の支払いが不要になるわけです。
 

払い済み保険のできる3つの保険

払い済み保険の仕組みが理解できたところで、もう少し一歩踏み込んで詳しく解説していきましょう。前述で少しふれたように、払い済み保険はすべての保険に対応しているわけではありません。
 
つまり、払い済み保険制度を利用できるのは、いくつか限定された保険商品に限るわけです。基本的には、積み立て方式の保険商品が、払い済み保険の仕組みを利用できる対象となります。
 

払い済み保険のできる保険1.個人年金保険

日本の戦後、世界に類を見ない驚異的な復興をとげ、一時期は国内GDPでもトップクラスの経済大国へと変貌しました。しかし、バブル崩壊後のリーマンショックや、阪神・淡路大震災や東日本大震災、また少子高齢化の影響などもあり、国内の景気低迷や働き手の減少により、大きく年金問題が浮上してきました。
 
一時期は、年金があるから老後は心配ないとされてきましたが、その年金保障も年齢の上限や年金額の減少などにより、今では年金は当てにならないが通説となってきました。
 
今や公的年金や会社の企業年金などでは、老後安心して暮らしていけないことから、個人的に保険料として積み立てていく個人年金保険が注目されています。払い済み保険に変更しても年金受取開始日自体は変わりませんが、条件に合っていれば、税制適格特約を受けられるといったメリットもあります。
 

払い済み保険のできる保険2.終身保険

終身保険とは、生命保険の一種ですが、通常の生命保険とは異なり、契約期間の満了が設定していない生命保険のことです。
保険の対象となる人物は、被保険者と称されますが、被保険者が高度障害状態あるいは死亡した際に、保険受取人に対して保険金が支払われます。
 
つまり、通常の生命保険は、契約期間が定められており、契約期間が満了となれば補償も受けられませんが、終身保険は一生涯保障を受け取ることができます。また、保険の支払いが長期にわたることも多いため、高い貯蓄性を持つ保険となっているのもその特徴です。
 
終身保険には満期がありませんので、死ぬまで補償が受けられますが、支払いが困難になった場合も、払い済み保険に変更する事ができます。
保障額は、その分引き下げられることになりますが、新たに別の補償がある保険に加入すれば、さらに安心感が高まることになります。
 

払い済み保険のできる保険3.養老保険

養老保険とは、終身保険と同様で生命保険の一種で、一定の保障期間が定められたものをいいます。養老保険は、被保険者が亡くなった際に死亡保険金が支払われ、無事満期を迎えた場合には、死亡保険金と同額の満期保険金を受け取ることができるものです。
 
貯蓄性が非常に高く、貯蓄と同時に死亡リスクをカバーできるため、生命保険の中でも人気の商品と言えるでしょう。しかし一方で、保険料は高めに設定されることも多く、月々の負担もそれだけ増える事になります。
この養老保険も、払い済み保険にすることが可能で、死亡保険金や満期保険金はその分ダウンしてしまいますが、解約返戻金はダウンせず、満期日まで少しずつ増え続けていくのが特徴です。
 
なぜ、解約返戻金が増えるのかといえば、養老保険の解約返戻金は、契約年数によって増加していくものだからです。終身保険と比べると、保障期間が限られていますので、ご自分のライフスタイルに合わせて選択すると良いでしょう。
 

払い済み保険について気をつけるポイント


これまでにご紹介した通り、払い済み保険を利用する事のできる保険は、個人年金保険・終身保険・養老保険以外にも、子供の教育費目的で加入する学資保険なども利用可能です。これらの保険で、払込保険を利用する最大のメリットは、保険を解約する事なく補償が受けられるという点です。
 
つまり、保険金を支払わずに保証を受け続け、さらにがん保険や医療保険・福祉保険など、ほかの保険に加入し、別口で保証を受けることは大きなメリットとなってきます。
 
また前述のように、保険料の支払いが難しくなっていた際に、こうした払い済み保険制度を利用することにより、保証を受け続けられることは、大きな安心感になることは間違いありません。
保険に加入していなければ、万が一の災害や事故にあった場合、何の補償も受ける事が出来ないからです。ただし、払込保険を利用する際には、いくつか気をつけておくポイントがあります。
 

利用できないものもある

払い済み保険を利用するうえで、気をつけておきたいこともいくつかあります。それは、保険会社によっては、払込保険を利用できないケースもあるからです。したがって、保険を検討する際には、できれば払い済み保険の制度を利用できるのかを確認しておく必要があります。
 
また、生命保険のタイプによっては、いくつか特約が付与されているタイプがあります。払い済み保険を利用すると、こうした特約が消滅してしまいますので、この点を踏まえて払い済み保険を利用するのか決めなければなりません。なぜ、特約の消失が起こるかというと、特約は掛け捨てといった性格のもので、その部分の保険料に貯蓄性がないからです。
そしてもう一つの注意点として、もとの契約には戻せないという点です。保険料の支払いが一時的に困難な場合は、「自動振替貸付」といった制度もありますので、こうした制度を利用するのも一つの手段です。
 

損失が大きくなる場合も

払い済み保険の注意点として、損失が大きくなってしまうといったケースも、十分に考慮しておかなければなりません。
なぜなら、払い済み保険にした場合は、保険金の額が変更時点での解約返戻金の金額によって決まってしまうからです。したがって、払い済み保険に変更した場合、その時点での解約返戻金の金額が少ない場合は、保険金の額も少なくなるという点を踏まえておく必要があります。
 
特に注意したいのが、低解約返戻金型終身保険といったタイプの保険です。低解約返戻金型終身保険は、支払う保険料は安いのですが、払込期間中の解約返戻金の返戻率が低く、その後の保険金額自体が少なくなってしまうからです。
そしてもうひとつ、変額終身保険と変額個人年金といったタイプの保険です。変額タイプの保険は、保険会社による国内外の株式や債券など、運用実績により解約返戻金額や死亡保険金額や年金額が変わりますので、その時の運用実績が悪ければ、保険金額が少なくなってしまうからです。
 

払い済み保険以外に料金を減らすには特約の解約

保険料の支払いが困難で、払い済み保険を検討する場合は、これまでに説明したように、いくつかのデメリットが生じてしまいます。そこで、払い済み保険以外に、料金を減らす手段として、いくつかの方法をご紹介しておきます。まず一つ目は、保険に付与されている特約の解約を行うということです。
 
特約の解約は、保険料を節約できる有効な手段で、保険金額や解約返戻金の返戻率は変わらず維持する事ができます。そして次に、契約者貸付を利用するといった方法です。
 
契約者貸付とは、解約返戻金の8割から9割程度、所定の利率でお金を借りられる制度で、保険料の負担を軽減するということにはなりませんが、一時的に負担を軽減できる手段となります。
 
また、保険の見直しによる、一部解約といった方法があります。ほかにも、保障期間は短くはなりますが、受け取れる保険金額は変更が生じない延長保険というものがあります。
そして覚えておきたいのが、保険を解約したとしても、失効後3年以内ならば、生命保険の「復活」ができるということをぜひ頭に入れておきましょう。
 

払い済み保険のできる3つの保険について まとめ

これまでに解説した通り、払い済み保険を利用することによって、解約することなく月々の保険料の負担を無くせる事が、お分かりいただけたかと思います。
 
ただし、保険会社によっては払い済み保険を利用できない会社もあり、また払い済み保険を利用できたとしても、10年間は継続して保険料を支払っておかなければならないといった条件もあります。
 
保険料の支払いの負担がつらくなった場合は、払い済み保険や保険の見直しも含めて、ご自分の家庭のライフスタイルに合わせて検討していきましょう。

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