日本の働き方が異常!?残業文化と改善の必要性について 【監修:對木博一氏】
【この記事を監修した人】

對木 博一 (一般社団法人日本衛生管理者ネットワーク 代表理事)
一般社団法人日本衛生管理者ネットワーク 代表理事
十文字学園女子大学 非常勤講師
長年、一部上場企業で人事労務と労働衛生の両面を同軸で捉えるユニークな発想と活動を展開。


 日本人の働き方は改善する必要がある

国ごとに働き方には違いがあり、日本でも日本独自の働き方の特徴を持っています。

普段当たり前のようにこなしている働き方も日本独自のものであることがほとんどなのですが、実はこの日本の働き方は、勤勉性や真面目さなどの国民性が大きく関与しているのではないでしょうか?

長年にわたって改善の必要性が問われ続けていますが、現代に則した働き方に改善する必要があるとも考えられています。

とはいっても、普段当たり前にこなしている働き方はそれが普通のことになっているのでなぜ改善する必要があるのか、どこを改善すべきなのか理解できていないという人も少なくありません。

まずは普段している働き方にも良くない部分があることから最初に理解することが重要です。

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日本人の働き方はなぜ異常なのか? 

日本人働き方は、実は海外の人から見たときに異常だと言われることが多々あります。

当たり前になっている働き方というのは、なかなか本人たちからするとどこか異常なものになっているのかを理解することは難しくなってしまいます。

そこで私たち働き方が海外の目から見て異常だと言われていることは何なのか?を理解するために、まずは海外の働き方をチェックしてみる必要があります。

海外ではどのような働き方が一般的になっているのかを知ることによって、日本の働き方との違いが明確に分かるようになるので、海外から見てどの面が異常であると感じるのかがはっきりします。

今回はドイツとオランダの2つの国に絞ってこの2つの国の働き方をご紹介していきます。

ドイツの働き方

ドイツの働き方として特に特徴的なのが労働時間の短さです。ドイツの労働時間は先進国の中でも一番短いと言われています。
単純に労働時間が短いというだけではなく、法律で長時間の労働が禁止されているので、長時間労働をしようものなら法律に触れてしまうという強制力があります。

さらに労働時間が長い人が評価されるという傾向はドイツには全くありません。労働時間が長ければ長いほど仕事が遅い人という評価がされる国なので、無理して長時間仕事をしなければいけないということもありません。

有休消化率も高く100%という結果も出ているので、有給を使いたいけど職場の環境で使えずに終わってしまうという心配もないのが特徴です。さらに病気で有休消化をするということもなく、有給休暇の他に病気の際には病気休暇を使用して休むことができるようになっているのも働きやすいポイントです。 

日本人の働き方特性は、昔は猛烈サラリーマン、CMでも24時間働けますかのキャッチコピー、休まないことの美徳、部活で水を飲まない、震災時の節度ある行動、約20時間の残業は生活費補填として考えられていた。                         

現代までに、過重労働や過労死、人よりも働かなければという不安(=ワークホリズム)はが多くみられている状況です。

逆に時間を忘れて仕事に没頭している日本人(=ワークエンゲージメント)は少なく、時間で割り切り、仕事の密度や面白さの探求などはできていない。

それに対しワークエンゲージメントが多いドイツは、短い労働時間で高いGDPを出しているのだ。


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オランダの働き方

 オランダの働き方として家族を大切にできる環境で働くことが出来るという特徴があります。

オランダは現在週休3日制の導入をしている企業が増えています。週休2日と比較すると、休日が増える分時間に余裕ができます。
オランダは共働きで仕事をしている夫婦が多いので、夫婦の時間が増えれば子供を放任してしまうということも防ぐことができます。

オランダではワークシェアリングも普及されており、ワークシェアリングでは多くの人を雇用することができるほか、1人1人の労働時間を短くすることも可能にできます。
家族との時間を大切にするオランダでは、このような時間にゆとりをもって働くことができるところが多いのも嬉しいポイントです。

ワークシェアリングは、ヨーロッパでは受け入れられるが、日本は自分の仕事を他人と分けるという考え方に馴染みがない。

日本人は、根底から長時間労働の働き方を当たり前としており、違和感を感じる隙もなかったのだ。

事例として、受験生は毎日8時間以上勉強する中国や韓国において、1年間でメンタルなったり自殺者がでるということはあまり聞かない。

つまり、時間数だけでなく仕事(勉強)にやりがいとか面白さを見出しているかが充実していれば、長時間でも問題はないのかもしれません。

また、正社員であってもパートであっても待遇が同じというのも特徴的な部分です。

日本の場合は正社員とパートでは雇用条件はもちろん、金銭面にも大きな違いがありますが待遇の違いを無くすことによって、仕事を辞めていく人を少なくするということにも一役買っています。

日本の働き方が異常とされる3つの理由

 外国の人たちから日本の働き方が異常と言われているのにはいくつかの理由が挙げられます。
働いている私たちはなかなか分からない以上と言われる理由について3つご紹介します。

1つ1つチェックしていきましょう。

そして普段は当たり前だと思っていた働き方が当たり前ではないという認識をしっかりと持つようにしてください。

残業が好き

日本人の中には残業自体を好んでいる人も多くおり、残業を積極的に行うことが多い傾向にあります。

残業で自分のペースで仕事をすることを好んだり、評価されるために自分から残業を積極的にするということが海外の目から見ると異常に映ってしまうようです。

日本人の考え方として、残業を否定的に思う人よりも残業を肯定して仕事をする人が多い分、残業をする人の割合が高くなってしまい全体的に1人あたりの労働時間が他の国と比較すると長くなってしまいます。

急を要する仕事が発生した場合などにどうしても必要で残業するならばまだしも、日常的に残業をするという文化は、労働時間が長いことを良しとしない外国から見たときに残業する時間が無駄・異常と言われてしまう原因になっています。
さらにその残業という行為を本人だけではなく下の者にまで強制してしまう傾向が日本にはあるのも問題とされる点です。

無駄が多い

日本の働き方においては非常に無駄が多いという点も特徴的です。

仕事において出来る限り無駄をそぎ落とし、必要なことを的確にこなしていけば良いのですが日本の労働時間内ではとにかく無駄な仕事が多いためそれも異常だと言われています。

ただ、製造業の現場の生産性は、数値化して工数や効率で表しており、日本は特異な領域であるが、ホワイトカラーの生産性は、数値化しにくい仕事であるため限定することが難しい部分もある。

例えば会議も内容によっては無駄なものも多い傾向にあります。

本当に必要な会議ならまだしも、次の会議のためにさらに会議をするなど無駄なことに時間を割いているため効率的な作業をすることが難しくなっているというのも日本の働き方の課題になっています。

さらに会議を多く行うことになると、そこでさらに会議で使う資料を作るために多くの労働時間を費やすことになってしまい、会議をする時間+資料を作成する時間というように無駄な時間と労働力が使われてしまいます。

しかし無駄だとは思っていてもそれをすることが当たり前の環境では従来の流れに反せずこなしてしまうという人が多い現状です。

そもそも、このように無駄な部分に言及できる社員がいない環境が無くならない根底には、会社の管理環境に心理的安全性の問題があると考えられる。

会社のために遅くまでいる

長時間労働することが美徳とされている日本では、会社のために遅くまで仕事をするという人も多く見られます。

遅くまで仕事をすることによって、会社に貢献したいという人や 仕事自体が好きだから長く仕事をしていたいという人は会社に遅い時間まで居るというパターンが多くあります。

しかし労働時間が長くなったからといって会社のためになるかと言われたらYESとは言い切れません。長時間の労働になればなるほど、疲れが溜まったり集中力が切れてしまうというパターンも多くあります。

そのため会社のためと言いながら実際のところ会社のための貢献が出来ていないというケースも少なくありません。 

その行為自体を美徳と考えている傾向にある日本では、このような行動をしてしまう人が多く居るため、仕事を早く終わらせるのが評価につながる外国から見ると、異常性を感じずにはいられないのでしょう。

これは、ワークホリズム(仕事中毒)といい、仕事の結果ではなく、いつも残業をしていないと仕事をしていないのでは?という不安にかられることです。

そのため、毎日2時間の残業をずっとやる、上司の目も気にしているなどばかり気にしてしまい、自ずと労働時間が長くなってしまうのです。

仕事に没頭していれば、仕事の進捗で残業にメリハリをつけることができますが、それ以外の要因に気を取られてしまうことが問題だと考えられます。

まとめ:日本の働き方を見直すべき理由と今後の展望

外国の働き方と比較すると、日本の働き方が抱える異常な点というのが明確に分かったのではないでしょうか。今のまま仕事を続けていても、日本の働き方を変えることは難しくなってしまいます。

効率が悪いのはもちろんですが、長時間の労働は労働者が過労を引き起こすリスクまでも高めてしまう恐れがあるのでこのまま続けていくのは危険です。

過労を起こすリスクや健康(労災)について企業が言及していない場合、注意する必要があるでしょう。

日本現代のような少子高齢化において、労働力確保のために経験を積んでいる高齢者の適正な活用がこれらの人事戦略の大きな課題となっている。 

働く人が働きやすい環境を作ることは、働く会社のためにもなる行為でありそれによって効率UPを図れるケースも多々あります。

今のままの日本の働き方を良しとせずに、外国で行われている働く人にメリットのある働き方を取り入れて従来の働き方から新しい日本の働き方を模索して変えていく必要があるのではないでしょうか。

ただ、日本人がプライベートに長期間没頭できないのは、長期間職場離脱することで仕事が奪われてしまう、仕事がなくなって左遷するという不安があり、それらを払拭しない限り残業ゼロは難しいでしょう。

会社はトップダウンで仕事を行うが、トップに対して意見できる実力を部下もつけていくためには、働く時間ではなく仕事の本質を見極め、仕事そのものに対峙することが働き方改革の根底かもしれない。


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對木 博一 (一般社団法人日本衛生管理者ネットワーク 代表理事)
一般社団法人日本衛生管理者ネットワーク 代表理事
十文字学園女子大学 非常勤講師
長年、一部上場企業で人事労務と労働衛生の両面を同軸で捉えるユニークな発想と活動を展開。


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