無視したら差し押さえ?!国民年金の特別催告状が届いた時の対処法

特別催告状は年金保険料の滞納が続くと届く


「特別催告状」とは、国民年金の保険料を支払っていない期間がある人に届く文書のひとつです。国から公的年金の運営を委託されている、日本年金機構から送られてきます。
日本の公的年金制度には、国民年金と厚生年金があります。厚生年金は会社員や公務員が加入する年金ですが、国民年金は、日本に住む20歳以上の国民すべてが加入する年金です。自営業者や学生、無職の人なども加入することになっています。
会社員や公務員は給与から保険料が天引きされており、配偶者の被扶養者(第3号被保険者)は自分で保険料を支払う必要はありません。無職の人や加入条件が適応されない会社で働いている人などが、支払を忘れてしまいがちです。
ちなみに「催告(さいこく)」とは、「相手に対して一定の行為を請求する」という意味です。
国民年金の年金保険料を支払わずにいると、まず、日本年金機構から「催告状」が送られてきます。催告状を受け取ったら、未納になっている年金保険料を支払うか、もし支払ができない理由がある場合は連絡をする必要があります。
保険料未納者への日本年金機構の対応は、段階を踏んで厳しくなっていきます。催告状を受け取ったのに支払も連絡もせずに放っておくと、次の段階に進み、特別催告状が送られてくる、という流れになっています。
 

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封筒の色で危険度が分かる

特別催告状の中にもさらに種類があり、後になればなるほど深刻度が増します。
通常は、以下の順番で送られてきます。
催告状(圧着ハガキ)→特別催告状(青)→特別催告状(黄)→特別催告状(ピンク)
まるで信号機のように封筒の色が変わっていき、ピンク(赤)はまさに危険を知らせています。
ピンク色の封筒の郵便物を無視してしまうと、次の段階に進み、最悪の場合、財産の差し押さえ処分を受けることもあります。
 

無視すると財産が差し押さえられる?!

「特別催告状が届いても無視すればいい」と思うかもしれません。しかし、それは危険です。放っておくと財産が差し押さえられる可能性があるのです。実際、2019年9月末時点で、財産の差し押さえは、約9000件もありました。
特別催告状を無視し続けていると、今度は「最終催告状」が届き、指定期限までに支払わないと財産の差し押さえが行われると警告されます。それでも無視していると「督促状」が送られ、それも無視すると最終的には「差し押さえ予告書」が届き、本当に財産を差し押さえられてしまいます。差し押さえは、本人だけでなく配偶者や世帯主にも及びます。これは絶対に避けたいところです。
 

強制収集は以前より厳しくなっている

実際に差し押さえをされる人には、さらに対象となる条件があります。日本年金機構によれば、年間所得(いわゆる手取り) 300 万円以上かつ未納月数7月以上の滞納者が、差し押さえの対象となります。
対象となる条件は、2015年度は年間所得400万円以上かつ未納月数13月以上でしたが、その後、年間所得350万円以上かつ未納月数7月以上、年間所得が300万円以上かつ未納月数13月以上、と変遷してきました。今後も、強制徴収の対象はさらに広がっていく可能性があります。
 

支払えない場合は「猶予」や「免除」が使えるかも

もし特別催告状が届いたら、もちろんすぐに全額支払うのがベストです。しかし、無職で収入がない、家計が苦しいなど、すぐに支払うのが難しい人もいるでしょう。
そんなときは、年金保険料支払いの「猶予」や「免除」の手続きをしましょう。住民登録している市役所、区役所・町村役場の国民年金担当相談窓口に申請することで、年金保険料の猶予や免除が認められることがあります。
本人、配偶者及び世帯主それぞれの前年所得が、一定の金額以下であれば、申請者本人が免除を受けることができます。免除の申請は、過去 2 年(申請月の 2 年 1 カ月前の月分)までさかのぼって申請することができます。
猶予や免除の承認を受けた期間は、年金を受け取るために必要な期間(受給資格期間)に含まれますが、将来受け取れる年金額が少なくなります。また、納付猶予になった期間は年金額には反映しません。しかし、10年以内であれば、後から追納(ついのう)して、老齢基礎年金の受給額を満額に近づけることが可能です。
家計を立て直したら、早めに追納して、将来に備えましょう。
 

納付は義務。支払えるよう周りにも相談を


国民年金保険料の支払いは、国民年金法で定められた国民の義務で、避けられるものではありません。払えないからといって未納のまま放置していると、未納額が積み重なり、延滞金なども加わって手に負えなくなってしまいます。
まずは、最寄りの年金事務所や役所の年金窓口へ相談に行きましょう。手続きの仕方がわかければ教えてもらえます。面倒くさいからと放置しておいて、後悔する事になるのは避けましょう。
 

国民年金保険料の時効を期待してはだめ

日本年金機構が国民年金保険料を請求する請求権には、2年という時効があります。
しかし、「じゃあ2年間知らん顔をしていよう」というのは危険です。
この時効は、督促によってリセットできるのです。督促状が送られてきたら、時効までの残り期間がリセットされるということです。たとえ、あと1ヵ月で時効を迎える状態だったとしても、督促状が届いてしまえば、再び「時効まであと2年」という状態に戻ってしまうのです。
時効で逃れることはできないものとして、きちんと支払うか、無理なら相談する、ということを徹底しましょう。
 

詐欺に注意!

迅速な対応と同時に、詐欺などに巻き込まれないように注意することも重要です。まず、書類の送り主の名前を確認しましょう。
「日本年金機構」から送られてきたものが正式な書類です。しかし近年、国民年金機構、などどいった実在しない団体から、書類を送り付けられる事件が発生しているのです。
書類の名前も微妙に違っていたりします。例えば「特別督促状」などどいう書類が送られてきます。「特別催告状」「督促状」はあっても、「特別督促状」はありません。
差押などと書かれていると焦ってしまい、気づかないかもしれません。うっかり記載された偽の団体に連絡してしまうと、詐欺集団に個人情報を教えることになってしまいます。問い合わせは必ず「日本年金機構」か、最寄りの年金事務所にしましょう。
ただし、未納が続くと、日本年金機構が委託している民間業者から連絡が来ることもあります。不安を感じたら、自分で日本年金機構に直接相談しましょう。
詐欺に遭わないためにも、国民年金保険料をきちんと支払い、払えないときは放置しないことが大切です。

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