年収1,000万円と聞くと、平均的な年収の人と比べて倍以上の収入があるため、ゆとりをもって生活をしていそうと感じる方も多いのではないでしょうか。好きなものが購入できて、年に数回旅行や外食を楽しんでいるようなイメージがあるかもしれませんね。
実際に年収1,000万円あると、ゆとりのある生活が可能なのでしょうか?また、税金などが引かれた後の実際の手取り額にすると一体いくらになるのか調べてみました。
この記事の目次
年収1,000万円以上の人は給与所得者の全体でどのくらいいる?
実際に給与所得で個人で1,000万円を超えるのは、全体の4.6%(男性7.1%、女性1.1%)(※1)です。
やはり給与所得で年収1,000万円を超えるのは、限られた人だけのようです。 これでは年収1,000万円と聞くだけで羨ましく思ってしまうのは、仕方のないことかもしれませんね。
上記の年収は各種税金や社会保険料など、本来引かれるべきものを差し引いていない金額です。
では税金を引いた場合の実際の年収手取り額では、一体いくらになるのでしょう。まずは給料から引かれる税金の種類から見てみましょう。
給料から引かれる税金の種類
給料から引かれる税金は所得税と住民税の2種類です。ほかに社会保険料と雇用保険料を引かれた残りが、手取り給料分となります。
所得税
個人の所得に対して引かれる税金が所得税です。
日本では所得税に累進課税制度を採用しています。累進課税とは所得額に応じて税率が上がる仕組みで、収入が増えれば納めるべき所得税も増えていきます。
区分 | 所得税率 |
360万円超~695万円以下 | 20% |
695万円超~900万円以下 | 23% |
900万円超~1,800万円以下 | 33% |
1,800万円超~4,000万円以下 | 40% |
所得税には、復興所得税(2.1%)も現在課せられているため、実際には所得税額に2.1%上乗せして支払ってる形となっています。
住民税
住民税は、1月1日時点で住んでいる都道府県と市町村に対して払います。課税所得に対して合計10%課税され、さらに一律の税額5,000円(均等割)が上乗せされます。
住民税10%の割合は、都道府県税が4%、市町村税が6%です。
社会保険料
社会保険料は、健康保険料と厚生年金保険料の合計、給料の約15%分が引かれます。
健康保険料は健康保険への加入と利用するための金額です。保険料は企業と従業員でそれぞれ分割して負担する形になっています。また厚生年金保険料も企業と従業員がそれぞれ半分ずつ負担します。
雇用保険料
雇用保険はあらかじめ決められた期間加入することにより、失業した場合に失業手当を受けられるものです。事業内容によって雇用保険料は異なっています。
一般事業の場合は、賃金×0.3%が労働者負担する分となります。
年収1,000万の人は手取り700万円!?
年収1,000万円から税金や社会保険料などが差し引かれた手取り分は、それぞれの家庭の事情において異なります。
またおよその手取りは700~780万円の範囲におさまるようです。こうしてみると年収1,000万円は、想像していたよりも少ないと感じる人もいるかもしれませんね。
子どものいる家庭では年収1,000万円は損?
年収1,000万を超えると児童手当が減額するなどの影響があります。
年収1,000万円の場合、月額1人当たり15,000円~10,000円支給が特例給付になり、月額1人あたり5,000円になってしまいます。
児童手当は特例給付に
児童手当をすべての期間で受け取れる金額は通常であれば、198万円(15,000×12か月×3年、10,000円×12か月×12年)です。特例給付になると90万円(5,000×12か月×15年)となり、108万円少なくなります。
高校無償化も対象外になるケースが
高校に進学する際の費用負担の無償化についても、世帯年収1,000万円を超えていると状況によっては対象外になるケースが出てきます。
こうして見ていくと、年収1,000万円はけっして裕福とは言えないのかもしれません。
節税対策でiDeCo してみるのもあり?
税金対策できるように、節税効果のある方法を取り入れる必要がありますね。
たとえばiDeCo (個人型確定拠出年金)を利用すれば、将来の老後の資金を貯められ、積み立てた掛け金は全額所得控除が受けられます。
運用時の分配金の運用利益にも税金がかかりません。また年金受け取り時も受け取り方法に関わらず、一定額までは非課税となっています。
原則60歳まで引き出せない点は注意が必要ですが、節税から見ると効果のある方法のひとつといえるでしょう。※加入時期によっては60歳から受給できないケースもあります。
まとめ
年収1000万円ある人の割合は、すべての給与所得者の4.6%、一握りの限られた人だけが得られる年収とわかりました。
しかし、実際の手取りは所得税率が高く、住民税や社会保険料などを差し引くとおよそ700〜780万円程度に収まります。
また年収1,000万円を超えると、児童手当をはじめとして所得制限がかかるようになるため、さまざまな優遇を受けられなくなるケースが出てきます。家族構成などによっては、一般的な家庭とあまり変わらないかもしれませんね。