安倍元首相の国葬はどうなる?
令和4年(2022年)7月8日に亡くなられた安倍元首相の国葬の日程が、同年9月27日(火)に決定しました。東京都千代田区の日本武道館にて、執り行われます。 国葬としておこなわれるのは、1967年におこなわれた吉田茂氏以来、55年ぶりとなります。この記事では、国葬とはどのようなものなのか?また費用はどのくらいかかりそうなのかについて紹介します。

国葬とは

国葬とは、国に貢献した人が亡くなった場合に、国家儀式としておこなわれる葬儀のことです。 国葬は政府が中心となり、国費を使っておこなわれます。国葬当日が休日になる場合もあります。

戦前までは国葬令によっておこなわれていた

大正15年(1923年)に国葬令が公布されました。元首相・左右大臣・太政大臣・旧薩長藩主・王皇族が国葬の対象者です。国葬は天皇の命令によって執りおこなわれました。戦後に国葬令は廃止となっています。 戦前におこなわれた内閣総理大臣の国葬は、以下の3名です。
  • 伊藤博文氏:明治42年(1909年)10月26日没。初代・5代・7代・10代内閣総理大臣。
  • 松方正義氏:大正13年(1924年)7月2日没。第4代・6代内閣総理大臣、日本銀行設立。
  • 西園寺公望氏:昭和15年(1940年)11月24日没。第12代・14代内閣総理大臣。
戦後におこなわれた国葬は、吉田茂元首相の葬儀です。吉田茂氏は、1967年(昭和42年)10月20日に亡くなっています。第45代と48〜51代までの長い期間、内閣総理大臣を歴任しました。 戦後に内閣総理大臣をいったん退任した後、再度登板したのは吉田元首相と安倍元首相のみです。

戦後は国民葬や合同葬が主流

戦後におこなわれた葬儀のほとんどは、国葬ではなく国民葬によるものです。 国民葬とは、国家が大部分の費用を負担して、主に国費で国民全体の名前で執り行われる葬儀のことを指します。また内閣・衆議院・自由民主党などの合同葬という形で国が関与して葬儀を行ったケースもあります。

安倍元首相の国葬が決まった理由

戦後の大半の首相経験者が、国民葬や合同葬でおこなわれていたのに対し、安倍元首相は国葬に決定しました。岸田文雄首相は決定した理由を以下のように会見で述べています。
  • 安倍元首相の憲政史上最長の8年8か月という在任期間
  • 選挙期間中に志半ばで亡くなられた
  • 東日本大震災からの復興などの功績
  • 諸外国からの幅広い弔意に応える必要があるため

国葬にかかる費用

安倍元首相の国葬が決まり、次に気になるのは葬儀にかかる費用かもしれません。安倍元首相の前に国葬が行われたのは、1967年の吉田元首相です。55年前の当時と現在では物価が違うため、比較するのも難しいところでしょう。 そこで参考になるのが、2020年におこなわれた中曽根元首相の合同葬での費用といわれています。

指標となるのは、直近の中曽根元首相の合同葬義の費用

安倍首相の国葬でかかる費用については、直近におこなわれた中曽根康弘元首相の葬儀費用が指標になるといわれました。指標とされる中曽根康弘元首相の内閣・自由民主党合同葬儀は、2020年(令和2年)10月17日におこなわれています。 中曽根元首相の葬儀にかかった費用はおよそ2億円弱。この時は内閣・自由民主党合同葬儀のため、国費として支出されたのは上記費用の半額でした。

安倍元首相の国葬費用は国が全額負担する

今回は国葬になるため、葬儀費用の全額を国で負担することが決まっています。 実際の予算の規模については検討中とされているため、どのくらいかかるのかは不明です。費用は予備費からの捻出を想定しているとされています。 また、国葬を執り行うと決定した9月27日(火)は、休日の扱いをしないとしています。

国葬費用を捻出する予備費とはどのようなものか

予想できない、将来の状況変化に対応するための費用を準備しておくものが、予備費です。憲法第87条および、財政法第24条の規制に基づいたものとなります。国会の議決を受けた金額の範囲内とされ、内閣の責任において支出ができます。 使用内容については事後、国会の承諾を受ける必要があります。予備費の管理は財務大臣です。 一般的に災害の発生などで、予定していた予算が足りなくなったときに、一時的に埋め合わせるためのものとして使用されています。最近ではコロナ対応のための「地方創生臨時交付金」が予備費から支給されています。
http://research-online.jp/all/save/13484/
http://research-online.jp/all/save/2514/

まとめ

2022年7月に亡くなられた、安倍元首相の国葬が9月27日に決定しました。戦後の首相の国葬としては2人目、前回から55年ぶりとなります。国葬の費用は、2020年におこなわれた、中曽根元首相の合同葬を指標にするとされています。 中曽根元首相の葬儀は2億円弱、安倍元首相の国葬にかかる費用もそれくらいになるといわれています。 国葬にかかる葬儀は、予備費から算出されます。予備費の大元は税金です。この記事がきっかけとなり、税金対策について興味が出たら、iDeCoやNISAなどを検討してみるのもいいかもしれません。何か分からないことがありましたら、お気軽にお問い合わせボックスから質問ください。

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