年金額改定?どう変わったの?

2023年1月20日に、令和5年度の年金額が公表されました。令和5年度の年金額は、令和4年度よりも上昇しています。

 

年金額は、複数の指数をもとに改定ルールが定められています。ルールはやや複雑ですが、データに則るシンプルなルールです。

 

年金額の改定により、今年度受け取れる額が気になる方もいれば、年金の負担額が上がるのではないかと心配な方もいるでしょう。今回は、年金額の改定について、ルールや改定額の詳細・現役世代の負担について解説します。年金改定に関する疑問を解決したい方は、ぜひ参考にしてください。

資産形成をしてみたい人はこちらから!

年金額改定について

 

年金額は、賃金や物価の変動に応じて毎年度改定を行っています。使用しているデータは以下の3つです。

 

  • 物価変動率
  • 名目賃金変動率
  • マクロ経済スライド

 

物価変動率は、家計に関する物価の変動を時系列的に測定した「消費者物価指数(CPI)」の変動率を指します。一方、名目賃金変動率は消費者物価指数の変動率に、「実質賃金変動率」の直近3年度分の平均を合算した数値です。

 

そして、それぞれの数値に年金の給付水準を自動的に調整するしくみである「マクロ経済スライド」が加わり、年金改定率が決まるのです。

 

2つの数値を使うのは、年金受給者に区分があるためです。年金受給者は67歳以下の新規裁定者と68歳以上の既裁定者に分けられます。新規裁定者の改定率は名目賃金変動率をもとに、既裁定者の改定率は物価変動率をもとに定めているのです。

 

よって、それぞれの改定率は以下のように算出します。

 

  • 新規裁定者:名目賃金変動率+マクロ経済スライド
  • 既裁定者:物価変動率+マクロ経済スライド

 

また、年金額の動きもこれらの数値をもとに決めています。年金額の改定率の動きは、以下のとおりです。

引用:https://www.mhlw.go.jp/content/12502000/001040881.pdf

番号

条件 改定率の動き
賃金の上昇率が物価の上昇率を上回っている状態 新規裁定・既裁定どちらも上昇する。新既裁定のほうが上げ幅が大きい。
物価が下落し賃金が上昇している状態 既裁定は下降し、新規裁定は上昇する。
物価の下落率が賃金の下落率を上回っている状態 新規裁定・既裁定どちらも下降する。既裁定の方が下げ幅が大きい。
賃金の下落率が物価の下落率を上回っている状態 新規裁定・既裁定どちらも同じ分下降する。
物価が上昇し賃金が下落している状態 新規裁定・既裁定どちらも同じ分下降する。
物価の上昇率が賃金の上昇率を上回っている状態 新規裁定・既裁定どちらも同じ分上昇する。

 

複数の数値や条件をもとにして、年金額は改定されているのです。

 

(※1)(※2)

資産形成をしてみたい人はこちらから!

どう変わったの?

令和5年度の年金額は、以下のとおり改定されました。

 

国民年金(1人分) 66,250円(前年+1,434円)

※既裁定:66,050 円(前年+1,234円)

厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額) 224,482円(前年+4,889円)

 

改定額のもととなった数値は、以下のとおりです。

物価変動率 +2.5%
名目賃金変動率 +2.8%
マクロ経済スライドによる調整率 -0.6%

(5年度分:-0.3%、

4年・3年度分:-0.3%)

 

前年度に比べて、新規裁定者が2.2%増、既裁定者が1.9%増となっています。今回の改定パターンは「賃金の上昇率が物価の上昇率を上回っている状態」のケースでした。令和4年度は減額されていたため、今回の増額からは経済情勢の回復が伺えます。

一方で、物価変動率・名目賃金変動率に年金の増額率が追いついていないことから、実質的な年金価値は目減りしているともいえます。今後の経済情勢によっては、さらに年金価値が下がる可能性もあるでしょう。

 

(※1)(※2)(※3)

資産形成をしてみたい人はこちらから!

私たちの生活はどうなるの?

年金増額で気になるのが、現役世代の生活です。私たちの生活には、どのような影響があるのでしょうか。

 

今回の年金改定は、現役世代の生活に直接的に影響を与えるわけではありません。「急に社会保険料が上がった」「厚生年金保険料が上がった」といっても、社会保険料の算出と改定年金額の算出は計算方法が異なるため、あまり関係はありません。

 

懸念点は、現役世代が年金を受給する際の年金価値です。もらえる年金額は現在と同等額だとしても、物価高などの要因で円の価値が下がってしまえば実質的に減額されているのと同じです。

 

年金受給の価値が問われ始めているため、自身で相応の老後資金を用意することを検討してもよいでしょう。

 

(※3)

まとめ

ここまで、年金額改定の仕組みや令和5年度の金額、現役世代の負担について解説しました。年金額の改定は、国内の経済情勢の一端を知れる貴重な機会です。自身の年金価値がどのように変わっていくかを見極め、しっかりと対策をしましょう。

 

老後資金を用意する方策の一つとして、iDeCoがあります。しかし、投資を始めるのは不安な方もいるでしょう。リサーチオンラインでは、投資や資産運用に関する相談を受け付けています。小さな悩みでも構いませんので、お気軽にご相談ください。

 

年金対策・税金対策のためのiDeCoのご相談

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Xでフォローしよう

おすすめの記事