2022年も12月を迎えました。決算期を迎える企業も多く、配当金を楽しみにしている投資好きな方も多いでしょう。一方で、投資を始めてから最初の確定申告が近づいてきており、準備を進めようとしている方もいるかもしれませんね。
株式等を売却して得た利益は、課税の対象になります。せっかく利益が出ても、税金が差し引かれて想定よりも利益が少なくなり、がっかりした経験をお持ちの方は多いでしょう。
今回は株式等の譲渡による税金について解説します。引かれる税金の割合や節税の対策を紹介するので、ぜひ今後の投資にお役立てください。
どれくらい税金に持っていかれる?
株式等を売却した際に発生するお金は「譲渡所得」と言われ、「申告分離課税」の対象となります。申告分離課税とは、他の所得と合算せずに税額を計算し納付する仕組みです。
一方、株式を保有することで得られる配当金は「配当所得」と言われ、「申告分離課税」と「総合課税」のどちらかの課税となります。総合課税とは、他の所得と合算して税額を計算し納付する仕組みです。
申告分離課税を選んだ場合は、以下の表のとおりどちらも同じ税率です。2011年に制定された復興財源特別法により、令和19年までは所得税率15%に2.1%をかけた0.315%が上乗せされています。
所得税 | 15.315%(復興特別所得税を含む) |
住民税 | 5% |
合計 | 20.315% |
一方、総合課税を選んだ場合は累進課税となるため、税率は都度変化します。
利益に対して約20%が課税対象となり差し引かれるのは、かなりの痛手です。しかし、税金を抑える対策も存在します。申告分離課税は、売却時に損失が発生した際に控除しきれない分を3年間繰り越すことができます。翌年以降に譲渡益が発生すれば、それと合算して損失を相殺し税負担を下げられるため、ぜひ試してみましょう。なお、繰り越しの際は確定申告を忘れずに行いましょう。(※1)(※2)
持っていかれないための方法
「税金を抑えることはできても、一切かからなくするのは無理なのでは?」と思う方もいるでしょう。しかし、NISAなら税金が一切かからずに投資ができます。2つの制度について、それぞれ解説します。
NISAを使う
NISAは、株式や投資信託を売却した時の利益が非課税になる制度です。NISA専用の口座を開設して、利用しましょう。
NISAは5年間利益が非課税
NISAでは、通常の証券口座と同様に国内の株式や海外の株式、投資信託などあらゆる商品を購入できます。ETF・REIT・IPOなど多くの商品が対象のため、投資の幅を広げやすいのが特徴です。
ただし、NISAは様々な制約があるため注意が必要です。購入限度額は120万円までと定められており、利益が非課税になる期間は5年間となっています。5年を超えて商品を保有してしまうと、売却した際に課税されてしまうため注意しましょう。
税金分の20%を利益として受け取れるのは、大きなメリットです。節税対策としてぜひ活用しましょう。(※3)
つみたてNISA・新NISAにも期待
似たような制度につみたてNISAがあります。つみたてNISAの対象商品は投資信託のみで、株式は購入できません。また、投資信託も国に認められた一部の商品のみの取扱となっています。しかし、非課税期間が20年間と長く、地道に積み立てていくことで利益を得やすいため、人気の制度となっています。
また、2024年からは新しいNISAがスタートします。非課税枠が122万円に拡大しますが、現行の制度よりやや複雑化する見込みです。新NISAについては、今後の続報を中止するとよいでしょう。
(※3)
iDeCoを使う
iDeCoも、利益を非課税で受け取れる制度です。iDeCoは自分で積み立てる方式の年金制度で、株式への投資はできず、投資信託や定期預金が対象となります。引き出しは原則60歳以降で、年金・一時金として受け取ることが可能です。最低掛金は5,000円からで、上限額は国民年金の加入状況等で変化します。
iDeCoは、積立満期となる60歳までの運用利益が非課税となります。加えて、掛金が全て小規模企業共済等掛金控除の対象となるため、所得税や住民税の軽減も可能です。受け取り時も公的年金等控除、退職所得控除を利用できるため税負担が少なく、利益をほぼそのまま受け取ることができます。
60歳まで引き出せないという難点がありますが、税制優遇のメリットは非常に大きく、老後資金づくりに優れた商品といえます。(※4)(※5)
http://research-online.jp/all/save/13979/
http://research-online.jp/all/asset/15138/
http://research-online.jp/all/asset/15076/
まとめ
ここまで、株式等を売却して得た利益から引かれる税金の割合、利益を非課税で受け取れる2つの金融制度について解説しました。
株式等の売却で得た利益にかかる税金は、想像以上にかかります。せっかく利益が出ても2割税金で引かれてしまうのは、なかなかもどかしいものです。NISAやiDeCoを活用すれば、利益全てを受け取ることができるため、積極的に活用するとよいでしょう。
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