日本時間の8月26日夜にニューヨーク株式市場では、NYダウが1,000ドルを超える大幅な下落となりました。
下落の原因は、連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演が原因とされています。NYダウとは何なのか、暴落の原因と日本に与える影響について紹介します。
記事を最後までお読みいただき、米国株や株価指数を学ぶきっかけにしていただくと幸いです。
この記事の目次
NYダウとは
NYダウとは、米国の株式市場の全体的な値動きを示す代表的な株価指数です。正式名称は「ダウ工業株30種平均」といい、「ダウ平均株価」や「ダウ平均」とも呼ばれます。
NYダウは、1896年より始まった120年以上の歴史のある株価指数です。
ニューヨーク証券取引所やナスダック市場に上場している、代表的な30銘柄によって構成されています。現在は工業株だけでなく、さまざまな業種が含まれています。
最近では、グーグルやアップルなどのIT・ハイテク関連株も含まれるようになりました。
NYダウの代表的な銘柄について
NYダウを構成する30の銘柄には、日本でもおなじみの企業がたくさん含まれています。主なものとしては、以下のような企業があります。
- アメリカン・エキスプレス
- ウォルト・ディズニー
- コカ・コーラ
- ナイキ
- マクドナルド
- プロクターアンドギャンブル(P&G)
- グーグル(Google)
- アップル(Apple)
- アイビーエム(IBM)
- インテル
- マイクロソフト(Microsoft)など
暴落の原因
株式市場にはたくさんの人が株売買に参加しています。
今回のNYダウの暴落に、大きな影響を与えたのは、FRB議長パウエル氏の講演に投資家たちが反応した結果でした。
米連邦準備制度理事会(FRB)とは
米連邦準備制度理事会とは、アメリカの中央銀行制度「連邦準備制度(FRS)」の最高意思決定機関です。7人の理事から構成され、FRBの現在の議長は、ジェローム・ハイデン・パウエル氏です。
アメリカでは、インフレの影響で物価の高騰が続いています。このため、FRBはインフレ率を下げるために、利上げを検討していました。
きっかけは米連邦準備制度理事会の議長による講演会での発言
8月26日、米国ジャクソンホールで経済シンポジウムが開かれました。この会議でおこなわれたFRBのパウエル議長の講演がきっかけで、NYダウは大きく下落することになりました。
主な講演の内容は以下の通りです。
- 株式市場が期待する「来年の利下げ」を強くけん制
- 当面は金融引き締めが必要
- 景気よりも物価抑制が優先
株式市場の期待を裏切る講演内容を受け、NYダウは1,000ドルを超える下げを記録しました。
暴落したらどうなる?日本に与える影響とは?
8月26日FRBパウエル議長の講演は、日本の株式市場にも大きな影響を与えました。NYダウは、世界中で取引する大企業で構成された株価指数です。このため日本や世界中の市場関係者は、常にNYダウの動向に注目しています。
NYダウが下がると、日本の株式市場や世界の各市場の株価にも大きな影響を与えるとされています。
8月17日まで東京株式市場は、今年1月以来の2万9,000円台まで回復していました。
日本の株式市場に影響が出るのはなぜ
日本の主要株価指数には、TOPIXをはじめとするいくつかの指数があり、NYダウ同様日本を代表する企業で構成されています。
これらの企業は、世界中で取引しているため、海外の景気の状況を受けやすいのです。
株の値段が下がる理由
株価が下がる仕組みは、大まかにいうと下記のような流れです。
- 景気が悪くなったり、物価が上がったりすると消費者は買い物を控える
- 会社の売り上げが落ち、業績は下がる
- 業績が下がり、会社に魅力を感じなくなった投資家は株を売る
- 株の売り手が増えて、買い手が少なければ株価は下がる
上記のような流れのほかに、不安になって売買するケースもあります。今回は、アメリカFRB議長の講演によって、NYダウが暴落しました。
投資家たちがNYダウの暴落に不安を覚えて、持っている株を手放したと考えられます。
恐怖指数(VIX指数)は警戒領域近くにとどまる
8月26日FRBパウエル議長の講演後、恐怖指数と呼ばれるVIX指数は、25日の21.78から25.56へと大きく跳ね上がりました(※)。
そのまま9月2日現在も25.47にとどまっています。
VIX指数とは、株価変動率を表す指標のひとつです。株価市場に対する投資家の心理状態を数値で表したもので、恐怖指数とも呼ばれます。
VIX指数は、0〜100のパーセンテージで表示します。
8月26日の数値は25.56、警戒領域と呼ばれる30に近づいた状態でした。通常は10〜20の範囲内のため、この数値内なら市場は安定している状態といえます。
VIX指数は、主要政治家の発言や世界中のニュースなどに影響を受けます。今回は、パウエル議長の講演に影響されて跳ね上がったものとみられます。
VIX指数が通常範囲内に収まるまでは、注意が必要かもしれません。
まとめ
米連邦準備制度理事会(FRB)理事長パウエル氏が、8月26日におこなった講演によってNYダウは大幅に下落しました。東京株式市場でも大きな影響を受けています。
株価が大きく下がると、購入価格より低くなる場合もあるため、不安に思う人は多いでしょう。
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