全国でおこなわれている新型コロナワクチンに、ノババックス社のものが使用され始めました。日本での薬事承認としては4例目、2022年4月19日に厚生労働省より承認されています。
ノババックス社のワクチンは輸入ではなく、技術移管を受けた武田薬品工業が国内で製造しています。製造・流通を手掛けることになった、武田薬品工業とノババックス社のワクチンについて紹介します。
ぜひ最後までお読みいただき、武田薬品工業について知る参考にしてください。
この記事の目次
武田薬品工業とは
武田薬品工業は、大阪府大阪市と東京都中央区に本社を置く、日本唯一のメガファーマです。
メガファーマとは、世界トップクラスの売上高を誇る製薬会社をいいます。
売上高は、日本円で数兆円規模に上ります。日本の医薬品・製薬会社の中で、売り上げトップの企業です。
以下3つの株価指数の、構成銘柄としても知られています。武田薬品工業の銘柄コードは【4502】です。
- 日経平均株価
- TOPIX Core30
- JPX日経インデックス400
創業は天明元年、グローバル企業として日本を代表する会社のひとつ
武田薬品工業の創業は1781年(天明元年)に、初代近江屋長兵衛(武田長兵衛)が、和漢薬を取り扱い始めてからとなります。
以来240年以上続く製薬会社として、日本だけでなく世界中で医薬品の製造流通をおこなっています。
現在のCEOはクリストフ・ウエバー氏、また日本国内では代表取締役の岩崎真人氏が日本管掌としてまとめています。
現在の武田薬品工業がつくる主力製品は、医療用医薬品
武田薬品工業のつくる主力製品は、医療用医薬品となります。
以前は、ドリンク剤の「アリナミン」や「C1000タケダ」、風邪薬の「ベンザブロック」などの一般用医薬品も製造していました。
一般用医薬品(OTC事業)は、現在子会社のアリナミン製薬株式会社がおこなっています。
また「C1000タケダ」は、現在ハウスウェルネスフーズより「C1000」という商品名で販売されています。
ノババックス製ワクチン開発と特長
武田薬品工業はワクチン開発ではなく、ノババックス社の技術移管を受けて製造準備を進めていました。
ノババックス社とは
ノババックス社とは、米国メリーランド州に本社のあるバイオテクノロジー企業です。
ノババックス製のコロナワクチンは、米国食品医薬品局(FDA)・EU欧州委員会・韓国などで承認を受けています。日本では2022年4月19日に承認され、武田薬品工業の光工場で製造されています。
ノババックス製ワクチンの特長と他のワクチンの違い
ノババックス製ワクチンには、製造法や保存方法がほかのコロナワクチンと違う特長があります。主な違いは、以下のようになります(※1・2・3)。
メーカー名 | ワクチン種類 | 保存方法:可能保存期間(有効期限内) |
ノババックス | 組換えワクチン | 冷蔵保存2~8度:9か月 |
米ファイザー | mRNAワクチン | 超低温冷凍庫(-90~60度) :最長9か月冷凍庫(-25~15度) :14日間冷蔵庫(2~8度):1か月間 |
モデルナ | mRNAワクチン | 冷凍保存(-20±5度):6か月 |
アストラゼネカ | ウイルスベクターワクチン | 冷蔵保存(2~8度):6か月 |
組換えワクチン
ノババックス製ワクチンは、ウイルス抗原をもとにした組換えワクチンです。
昆虫細胞を用いて発現させた、遺伝子組換えSARS-CoV-2スパイクタンパク質を「ナノ粒子化」して製造されています。
組換えワクチンは不活性化ワクチンの一種で、幅広く使用されているワクチンの技術。B型肝炎ウイルスワクチンなど、他のワクチンですでに実用化され、世界中で多く使われている技術です。
mRNAワクチン
mRNAワクチンは、「メッセンジャーRNAワクチン」とも呼ばれます。ウイルスのたんぱく質をつくるもとになる、遺伝情報の一部をワクチンとして使用します。
mRNAは新型コロナウイルスの、スパイクたんぱく質の設計図(mRNA)を脂質の膜につつんだワクチンです。
ウイルスベクターワクチン
新型コロナウイルスのスパイクたんぱく質は、とげを持ったボールの形状をしています。そのアミノ酸配列をコードする遺伝子を、風邪のウイルスの一種(サルアデノウイルス)に組み込んだワクチンです。
遺伝子を組み込んだサルアデノウイルスは、増殖して悪さしないよう処理されています。
上記3つのワクチンのうち、 mRNAはとても不安定な物質です。そのため保管に注意が必要です。
まとめ
新しく接種が始まった、コロナワクチンを扱う武田薬品工業とノババックス製ワクチンについて紹介しました。
新型コロナウイルス感染症の流行は、まだ予断を許さない状況でしょう。ワクチン製造と治療薬の開発の情報など、製薬会社の動向に注目して投資をしてみるのもいいかもしれません。
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