税金は我々の生活において欠かせない義務の一つです。とはいえ、「納税の負担が大きすぎる」とため息をこぼしている人も少なくないでしょう。ここでは、税金の賢い納め方と節税の効果について解説します。
この記事の目次
節税方法3選
誰でも実践できそうな住民税の節税方法は、大きく分けると3種類あります。これらの対策は、併用も可能です。上手く活用するためにも、各節税方法を細かく紹介しましょう。
配偶者控除や扶養控除を活用する
配偶者や子ども、親と同居している人は扶養に入れることで、住民税の負担を軽減できます。ただし、扶養控除を利用するためには、下記の条件を満たさなければなりません。
配偶者控除(※1)
- 生計を共にしている配偶者
- 配偶者の年間所得が48万円以下(事業専従者は不可)
- 納税者の所得が1,000万円以下
扶養控除(※2)
- 16歳以上の親族
- 生計を共にしている(別居も可)
- 年間の所得金額が48万円以下
配偶者控除の要件に配偶者の年間所得48万円がありますが、仮に超えても133万円までなら軽減措置を受けられます。その制度が「配偶者特別控除」です。
一方で、配偶者が「事業専従者」の場合は対象外です。半年以上、夫婦で共に事業しているケースが該当します。その際には、配偶者控除ではなく、「事業専従者控除(※3)」で節税対策をしましょう。
iDeCoを利用する
住民税の節税には、iDeCoの利用も役立ちます。2001年10月から始まった(※4)、公的ではなく自己責任において運用する「確定拠出年金」です。確定拠出年金とは、加入者が掛金を投資信託などに運用し、得られた成果によって給付額が決まる年金のことです。
iDeCoは、「個人型」とも呼ばれており、掛金は加入する人が納めます。20歳〜60歳未満の自営業者やフリーランスに向けた制度ですが、条件次第ではサラリーマンも利用可能(※5)です。
ちなみに、確定拠出年金にはiDeCoのほかにも、60歳までの会社員を対象とした企業型DC(※6)があります。勤め先が導入している場合のみ利用でき、会社側が掛金を負担する制度です。(従業員による上乗せも可)
iDeCoと企業型DCの併用は、勤め先の許可が下りた場合のみ認められています。しかし、2022年10月により、企業の同意が必要なくなる予定(※7)です。同年5月には対象年齢が65歳までと引き上げられ(※8)、より多くの人がiDeCoを使えます。
「ふるさと納税」で自治体に寄付をする
「ふるさと納税」による自治体への寄付も、節税において欠かせません。この制度は、首都圏で生活する人が増えたことにより、地方の財源を確保するためにスタート(※9)しました。
5つまでの自治体に寄付でき、返礼品として地元の特産物などが送られます。国は効率よく地方財政を整えられ、利用者も普段の生活で購入する機会の少ない商品を手に入れられるシステムです。
ふるさと納税を利用したい場合は、各自治体のホームページから申請方法を調べましょう。「ふるさと」とありますが、特に縁のない地域を選ぶことも可能です。
ちなみに、ふるさと納税は所得金額によって寄付金の上限額が決められます。いくらでも自治体に納められるわけではありません。例えば、給与収入が300万円の独身の寄付上限額は年間2万8,000円までです。(※10)ご自身の納税可能額を調べてから、実施するようにしてくださいね。
年間の控除金額と住民税の差
住民税を節税するためには、以下の3種類の方法があると説明しました。
- 配偶者控除や扶養控除の活用
- iDeCoの利用
- 「ふるさと納税」による寄付
ちなみに、住民税の計算方法は「年間所得金額×税率(10%)」(※11)です。計算式も踏まえながら、各控除による効果をまとめましょう。
配偶者控除と扶養控除の影響
配偶者控除額は、納税者の所得によって上下します。
(※12)
納税者の年間所得金額 | 控除額(配偶者) | 控除額(老人配偶者) |
〜900万円 | 38万円 | 48万円 |
901万円〜950万円 | 26万円 | 32万円 |
951万円〜1,000万円 | 13万円 | 16万円 |
扶養控除の金額を算出する基準は、扶養親族の年齢です。
(※13)
対象の扶養親族 | 控除額 |
一般の扶養親族(16歳以上) | 38万円 |
特定扶養親族(19歳以上〜22歳) | 63万円 |
老人扶養親族(70歳以上) | 同居は58万円、同居以外は48万円 |
これらの金額が合計所得から差し引かれます。例えば、所得が300万円の人が配偶者と16歳以上の子どもを扶養に入れた場合、控除額は合計で64万円です。(所得金額は236万円)
あまりにも単純な計算ですが、10%を乗じた住民税の差は約7万円まで広がります。
iDeCoの税額控除
iDeCoでは、掛金の全額が所得控除の対象です。ただし、状況に応じて上限が定められているため、下記の表を参考に覚えておきましょう。
(※14)
対象者 | 掛金の上限額(年額) |
国民保険第1号被保険者(自営業者、パート、フリーランスなど) | 81万6,000円 |
企業年金のない雇用保険者(第2号被保険者)、第3号被保険者(雇用保険者の配偶者) | 27万6,000円 |
企業型DC加入者 | 24万円 |
公務員、確定給付企業年金加入者 | 14万4,000円 |
企業型DCは事業主が掛金を負担し、その金額は企業の経費にまとめられます。しかし、加入者が上乗せした分は所得控除の対象です。
ふるさと納税の控除
ふるさと納税は、寄付した金額から2,000円を差し引き、10%を乗じた分が「税額控除」として計算(※15)されます。これまで説明した所得控除とは違い、算出された税金に直接控除額を差し引く方法です。
例えば、寄付金の上限額が5万円だった場合、2,000円を差し引くことで48,000円となります。さらに、10%をかけ算すると最終的に控除される金額は4,800円です。
住民税から直接差し引かれると考えれば、利用している人とそうでない人で意外と差が出ます。返礼品を楽しみつつ、節税対策として活用しましょう。
まとめ
住民税を節税する方法についてまとめました。均等割では一定の金額を納めなければなりませんが、所得割はやり方次第で負担を大きく軽減できます。全て活用した場合、住民税の控除額が10万円以上になることも珍しくありません。この記事を参考に、上手に節税してみてください。