「個人M&A」をご存知ですか?
近年少しずつ増えている、個人が企業を買収する手段の1つです。
専門のマッチングサイトの普及に伴い、数十万円〜数百万円の資金を用意できれば個人M&Aが可能となっています。
少しずつ増えてきているとはいえ、まだまだ知らない方も多い「個人M&A」。
この記事では、「個人M&A」について基本的な概要やメリット・デメリット、どういった方におすすめなのかについてお伝えします。
「個人M&A」について興味がある方や、検討中の方のお役に立てば幸いです。
この記事の目次
個人M&Aの基本概念と特徴
個人M&Aとは、企業を購入する点では共通していますが、購入する側が企業ではなく個人となる小規模な買収です。
仲介会社やマッチングサイトを媒介とし、マッチングを実施します。
買収額は買収先の企業の規模感によって差がありますが、小規模企業であれば数十万円〜数百万円での買収が可能です。
M&Aと聞くと非常に大規模で数千万〜数億円の金銭が動くイメージがありますが、個人M&Aの場合は比較的少額です。
そのため、個人M&Aは「スモールM&A」や「マイクロM&A」とも呼ばれます。
個人M&Aは近年増加傾向にあり、背景には大きく3つの理由があるのです。
どういった理由があるのか、1つずつお伝えしていきます。
後継者不足と個人M&Aの関係
まず、最初の背景・理由は後継者不足です。これまでは個人事業等の場合、親族が後継者の第一候補でした。
近年、価値観の多様化や少子化などの影響を受け、後継者となる親族がいない・継承を拒否されるといった事態が増えています。
そういった個人事業主の方が対応策として、個人M&Aを利用するようになったのが大きなきっかけです。
独立・起業を目指すサラリーマンの増加
特定の事業分野で業績を積み、独立・起業を考えるサラリーマンが年々少しずつ増加傾向にあります。
独立・起業を考える際、何もない状態から起業するのは非常に大変でリスクもあります。
起業を考える分野の既存企業を買収する方が、起業に関する労力やコスト、時間を節約できますしリスクの軽減にもつながり多くのメリットがあるのです。
個人M&Aを活用した起業の増加
インターネットの普及によって起業の敷居は非常に低くなっており、どのような方でも起業が可能といっても過言ではありません。
特に情報系のWebサイトなどはオンラインで完結するため始めやすく、個人M&Aとの相性も高いです。
また、ビジネスマッチングサイトなどとの相性もよいため、個人M&Aが成立しやすいです。
個人M&Aのメリットとデメリット
個人M&Aには事業の売り手と買い手がおり、それぞれにメリット・デメリットが存在します。
ここでは、個人M&Aの売り手・買い手それぞれのメリット・デメリットをお伝えします。
売り手にとってのメリット
- 個人で売却益を得られる
- 事業が継続できる
- 個人保証からの解放
それでは、詳しく見ていきましょう。
個人で売却益を得られる
事業を廃業する場合はコストのみで得られるものはありませんが、売却に成功した場合はいくらか収益が手元に残ります。
事業が継続できる
事業の売却を検討する理由はさまざまですが、後継者がおらず廃業を考えていた場合は売却により事業が継続され後世に引き継がれます。
また、事業のユーザーも継続して利用が可能となるため双方にとって利益があります。
個人保証からの解放
中小企業の場合、融資を受けた場合オーナーが連帯保証人となる場合がほとんどです。
万が一の際、個人財産が取り立ての対象となるのですが売却が成功すれば個人保証も引き継がれるため不安から解放されます。
売り手にとってのデメリット
- 買い手が見つかるかは業績次第
- 従業員や顧客に迷惑をかける可能性
それでは、詳しく見ていきましょう。
買い手が見つかるかは業績次第
業績不調で売却を検討する場合は買い手が見つからない可能性が高いです。
買い手側何らかの利点を見出せば成功する可能性もありますが、業績が悪い場合は廃業の可能性が高くなります。
従業員や顧客に迷惑をかける可能性
個人M&Aによって経営方針や仕事の条件面が変更され、従業員や顧客が不満・不安を感じる場合があります。
買い手にとってのメリット
- 新規事業の立ち上げに必要な労力・コストの削減
- 将来的に売却が可能
それでは、詳しく見ていきましょう。
新規事業の立ち上げに必要な労力・コストの削減
事業をゼロから始める場合、非常に多くの時間や労力、コストがかかります。
M&Aで事業を購入した場合、一式揃った状態から始められるため、諸々のコストの削減が可能です。
将来的に売却が可能
買収先の事業の業績を伸ばせれば将来的には購入金額よりも高い金額で売却ができ、利益が得られます。
買い手にとってのデメリット
- 利益を得られる案件が少ない
- 簿外債務を引き継ぐリスク
それでは、詳しく見ていきましょう。
利益を得られる案件が少ない
個人M&Aで購入可能な事業は小規模なものが多く、利益が安定していないものが多く安定して利益を得られる案件が見つかる可能性はあまり高くありません。
簿外債務を引き継ぐリスク
企業間でのM&Aの場合は、専門の機関等に依頼し財務状況を調査しますが、個人M&Aの場合は費用もかかるため難しいです。
そのため、帳簿には載っていない債務を引き継ぐリスクがあります。
個人M&Aがおすすめの人
個人M&Aがおすすめの人を売り手側・買い手側それぞれで考えてみましょう。
売り手側
売り手側でおすすめの方は、確かな技術や伝統を持ちつつも後継者不足で事業の廃業を選択肢として考えている方です。
そのほか、個人保証の不安に悩んでいる中小企業の経営者の方にもおすすめです。
買い手側
買い手側でおすすめの方は、独立・起業を考えているサラリーマンの方です。
ゼロから事業を始めるよりも、既存の事業を買収して始める方がコスト面やリスクの軽減が可能となります。
まとめ
近年耳にする機会が増えてきている、個人M&Aとはどういったものなのか。
個人M&Aとは、個人単位で行うM&A(起業買収)を意味し、起業・独立を考えるサラリーマンや後継者不足で悩む中小企業など幅広く活用されています。
この記事では、個人M&Aの概要についてお伝えしました。
また、自分で調べてわからない場合は、資産形成・運用の専門家からの意見を見聞きするのも非常に有効な手段の1つです。
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