老後の生活資金2000万円不足問題や新型コロナウィルスなど先行きが不透明な情勢の中、効率よく資産形成を行いたいものですね。
資産形成の一つとして「不動産投資」は昔から利回りの良い魅力のある投資ではありますが、最近「不動産投資することで生命保険の代わりになる」といった内容の記事を見かけることがあります。
「投資家が亡くなった場合、家賃収入で遺された家族の生活保障にすることができる」が不動産投資が生命保険の代わりになる理由として挙げられているようです。
リスクマネジメントから不動産投資は損失と利益のどちらの可能性ももたらす投機的リスクではありますが、本当に生命保険の代わりになるものなのかを検証していきます。
この記事の目次
「不動産投資で生命保険の代わりになる」と挙げられる理由は?
理由は以下の通りです。
- 家賃収入で定期的な収入を確保することができる
老後の生活資金を準備するのに個人年金保険に加入したり、投資家が亡くなった場合は毎月定期的に死亡保険金を受け取れることができる収入保障保険に加入しますが、家賃収入があれば保険は必要ありません。
- 団体信用生命保険に加入することで、ローン完済の状態で家族に渡せるから
投資家が亡くなった場合に団体信用生命保険に加入していれば、以降の返済は免除され、遺された家族は引続き家賃収入を得ることになります。
団体信用生命保険とは、ローンの借り入れをした投資家が完済前に死亡したり、高度障害を負って返済不能になったりした場合に、ローンの残債を保険会社が代わりに支払うものです。保険料は金利に上乗せされ、毎月の返済額に含まれています。
よって、団体信用生命保険に加入することでローン完済状態で家賃収入を手に入れることができ、収入保障保険に加入する必要がありません。
- 物件を売却すれば、遺された家族にまとまった資金を渡せるから
遺された家族が賃貸経営を望まなければ不動産を売却することもできます。
エリアや規模によって異なりますが、まとまったお金を手に入れることになるため、一度に死亡保険金を受け取れる定期保険に加入する必要はなくなります。
不動産投資は物価指数が上がれば、比例して多くのお金を手に入れることができるため、生命保険にはないインフレに強い資産になります。
「不動産投資で生命保険の代わりになる」と考える場合、注意しなければならない点
不動産投資のメリットの1つとして生命保険のような役割があると認識するのは問題ありませんが、現在の生命保険を解約するなど生命保険の役割を不動産に置き換えるのは問題です。
理由は以下の通りです。
- 賃貸経営におけるリスクが存在するから
賃貸経営を行うにあたって、以下のように注意しなければならない点があります。
- 空室により家賃が減少
エリアによって入居者の需要が伴っていないほど競合物件が多い場合や他の物件と差別化が図れる要素がない場合は空室によるリスクが高く、生活保障をまかなうとなる家賃収入を手にすることができない場合があります。
- 災害や施設などの事故により賃貸経営できなくなる場合あり
所有する不動産が火災、地震・津波などの災害で、賃貸経営ができず家賃が得られないリスクがあります。施設での欠陥により入居者が転居せざるを得なくなったり、入居者や通行人にケガを負わせたことにより、家賃が得られなくなったり多額の賠償金を支払うことにもなります。
- 入居者の家賃滞納や使用状況による費用が発生
入居者の使用状況により修繕費用がかかったり、家賃滞納でローンが返済できないなど入居者に伴うリスクがあり、また強制退去するための費用がかかる場合もあります。
- ローン金利上昇により返済が厳しくなる
ローン金利が上がることで、ローンの返済額が増え、家賃は据え置きにすることで返済が滞る場合もあります。返済額が増えたことによる家賃の値上げは入居者の減少に繋がります。
- 売却したいときに他の投資よりも流動性が低い
不動産投資は他の投資よりも流動性が低く、買主を見つけてから契約・決済を行うまでに最低でも数か月はかかります。また買主との売買による交渉によっては1年以上の長期に渡る時間を要することもあるため、現金が必要な時にすぐに換金できない場合もあります。
また、不動産会社や司法書士に対する報酬や仲介手数料、売買で利益が出た場合は譲渡所得による課税が発生するなどの費用がかかります。
- 建物の経年劣化に伴う家賃低下
不動産は築年数の経過によって家賃が下がるため、購入当初想定していた家賃収入を家族に遺せるとは限りません。
当初想定していた家賃収入があれば家族に遺せると思っていた物件であっても、家賃の低下によって家族が満足した生活を送るには不十分な収入になりえます。
投資家が万が一の場合、家族が引続き賃貸経営すればローンがない状態で月々の家賃収入で生活することができますが、空室であれば毎月の管理費や修繕積立金、毎年の固定資産税で支出のみがかかります。
リスクを回避しながら不動産投資を行うポイント
不動産投資は生命保険のように最初から決まっている金額を確実に遺せる仕組みではありません。
不動産は希望する価格で売れるか、もしくは継続して十分な家賃収入が得られるかいずれも不明確です。
すなわち、不動産投資を行うことで生命保険の代わりになるといった考えではなく、リスクを回避させながら不動産投資を行うことで生命保険としての役割を果たすことができる一つのメリットとして考えましょう。
そのリスクを回避する方法として以下の3つがあげられます。
- 入居者が入りやすく需要の高い条件で不動産を購入する
入居者が入りやすく需要が高い条件は以下があげられます。
- 駅から近いこと
- 不動産の管理が行き渡っている
不動産は駅からの距離が近い物件は、築年数が経過しても人気があり、将来的な資産価値を求める場合には外せない条件です。
物件の外壁や共用部のメンテナンスなど、所有する物件の価値に影響するため管理が行き渡っていることもリスクを回避するためのポイントです。
- サブリース契約で将来にわたり家賃収入が得られるようにする
継続した家賃収入を得るためには、サブリース契約を検討することも1つです。
サブリース契約とは所有物件をサブリース会社に預けて、サブリース会社から入居者に転貸しすることをいいます。
サブリース契約をすることで空室・滞納リスクを避けられるため、安定した運用が可能です。
- 施設災害などに対する保険に加入する
災害により施設の修繕や入居者に対する損害賠償を損害保険で備えたり、経年劣化に伴う施設の修繕費用を積立型の保険から調達できるようにすれば家賃収入から資金を調達することなくリスク回避することもできます。
まとめ
不動産投資は立地条件や築年数による経年劣化により不動産価格が変動しリスクが大きいため、「遺された家族に資産を引き渡す」ためにリスクを分析し対策を講じなければなりません。
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