2022年7月~8月に、みずほ銀行が日本銀行に預けた当座預金の一部に、マイナス金利が適用されたことが発表されました。
預金者にどのような影響があるか気になる人もいるでしょう。
本記事では、みずほ銀行にマイナス金利が適用された背景などについて解説しますので、参考にしてください。
この記事の目次
みずほ銀行について
みずほ銀行は日本の主要な都市銀行の1つです。第一勧業銀行・日本興業銀行・富士銀行の会社分割・合併により2002年4月1日に発足した、日本最初のメガバンクです。
システム障害
みずほ銀行と言えば、何度もシステム障害を繰り返しているイメージを持っている人も多いでしょう。例えば、2021年2月28日から12か月の間に11回のシステムトラブルを起こしています。(※1)
それ以前にも、2002年、2011年と大規模なトラブルが起きています。
システム障害の要因として、保守運用フェーズにおける急なリソース削減や、経営陣とシステム部門とのコミュニケーション不全、内部体制の在り方として連携が困難となっている、などが考えられているのです。(※2)
マイナス金利になった背景
マイナス金利政策や、マイナス金利になった背景についてみていきます。
マイナス金利とは
マイナス金利とは日本銀行が2016年に「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」導入した政策です。
日銀の当座預金は次のような構成となっています。
- 基礎残高:金利プラス0.1%
- マクロ加算残高:金利ゼロ%
- 政策金利残高:金利マイナス0.1%
日本銀行に預けている当座預金が「基礎残高」と「マクロ加算座高」の上限を超えた場合に、超えた残高に対して日本銀行が年率0.1%を徴収する仕組みです。
金融機関は日本銀行に資金を預けたままにしておくと、金利を支払わなければなりません。これは、金融機関にお金を投資や企業への融資にまわすように促すための政策です。
お金を市場に回すことで、デフレ脱却や経済の活性化などを目指しています。
みずほ銀行の初のマイナス金利について
7月16日~8月15日に都市銀行が預けた、当座預金は約189兆円(平均値)です。そのうちの、9,030億円にマイナス金利が適用されました。
みずほ銀行によると、全額が同行の預金です。この負担金額は7,500万円ですが、預金者への負担につながるような規模ではないと伝えています。
マイナス金利となった背景
みずほ銀行は、マイナス金利になった理由として「短期国債の利回り低下」を挙げています。(※3)
日本相互証券による国庫短期証券の金利は次のとおりです。
1年物:マイナス0.144%
6カ月物:マイナス0.17%
3カ月物:マイナス0.13%
国庫短期証券とは
国庫短期証券とは、国庫の一般会計や一次的な資金不足を補うことを目的とし、または、国債の償還に伴う借り換えのために発行される割引債を指します。入札資格が金融機関に限定されている証券です。
国庫短期証券の利回りがマイナス0.1%を下回った要因としては、海外からの需要の強いことがあげられます。これは、日米金利差が急拡大したためです。
外国人投資家の運用手段として、ドルを円に換えて、日本の国庫短期証券に投資することでうまみが増します。
高金利通貨を買い、低金利通貨を売ると2国間の金利差相当分の収益が得られます。これを「為替ヘッジプレミアム」と言います。
現在、ドルは高金利通貨、円は低金利通貨です。そのため、外国人投資家はドルを一定期間邦銀に貸し出すと、円を受け取る際に「為替ヘッジプレミアム」が受け取れるというわけです。これも、外国人投資家が日本の短期国債に投資する理由となっています。
無担保コールとは
多くのメガバンクは、一般的にマイナス金利を避けるため無担保コール市場などの日銀当座預金以外で資金の運用を行い、マイナス金利の適用を逃れています。
無担保コールとは、金融機関同士で「今日借りて明日返す」という、1日で満期を迎える超短期の資金調達や資金供給を指します。
まとめ
今回、みずほ銀行はマイナス金利となりましたが、みずほ銀行によるとすぐに預金者に影響を与えることはないようです。しかし、銀行の金利はなかなか上がる兆候がみられません。
今後、もしもマイナス金利が続けば預金者に影響の出る可能性がないとは言い切れません。
低金利が続いているため、将来のための資金運用を考えた場合、銀行預金だけではなかなかお金が増えずに不安になることもあるでしょう。そのような方は、投資についても検討してみてはいかがでしょうか。
投資には、株式投資・不動産投資・投資信託などさまざまなものがあります。多くの種類があるため、初めて取り組む場合、何から始めたらよいかわからず不安になる方は少なくありません。
投資について興味はあるものの、どのように取り組めばよいかわからずなかなか一歩を踏み出せない方は、是非リサーチオンラインにお気軽にお問い合わせください。