夏のボーナスが支給されるこの時期、多くの方が気になるのは「実際に受け取る手取り額」。明細を見ると、思ったより少なくて驚いた経験はありませんか？
その理由は、賞与にかかる所得税や社会保険料の計算方法にあります。給与とは異なる仕組みがあるため、事前に把握しておかないと損をしているように感じてしまうかもしれません。
この記事/動画では、「なぜ賞与からこれほど多く引かれるのか？」を税と保険料の観点から徹底的に解説します。手取り額の仕組みを理解し、賢く対応できるようにしましょう
▼この動画/記事でわかること
- 賞与・ボーナスから引かれる控除の内訳とその理由
- 所得税の計算方法と「甲欄・乙欄」の違い
- 社会保険料の上限や計算ルールについての詳細
- ケース別ボーナス手取りシミュレーション
- 手取りを増やすための実践的な対策と注意点
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この記事の目次
賞与から何が引かれるのか？
【図解＋一覧表】
賞与から何が引かれるのか？
まとまった支給の裏側にある、5つの控除項目を図解で理解
所得税
ボーナスに課せられる源泉徴収税。前月の給与額をベースに税率が決まります。
※ 前月給与ベースで税率決定
健康保険
医療費の自己負担を減らす公的保険。会社と折半で負担します。
※ 会社と折半負担
介護保険
40〜64歳が対象。介護が必要になった時のための保険です。
※ 全国均一（協会けんぽ）
厚生年金
老後の年金上乗せ分。将来の安心のための積立です。
※ 折半負担、月額150万円上限
雇用保険
失業・育休などのセーフティネット。もしもの時の安心です。
※ 算出式簡単、端数は50銭で処理
💡 覚えておきたいポイント
賞与からは「税金」と「社会保険料」が引かれます。
手取り額は額面の約75〜80%程度になることが一般的です。
これらの控除は将来への投資や、もしもの時の備えとなっています。
控除の仕組みをサクッと解説：賞与の手取りが減る理由
ボーナスはまとまって支給される分、各種の控除も大きくなります。まず健康保険や厚生年金などの社会保険料が引かれ、その後に前月給与をもとにした所得税が課されます。保険料は「標準賞与額」で計算され、厚生年金は月150万円が上限。雇用保険は支給総額に一定率をかけて算出されます。介護保険は40〜64歳のみ対象です。これらを差し引いた後が「手取り賞与」となり、実際の受取額との差を知っておくことが大切です。
所得税（源泉徴収）完全解説：仕組み・算出率・甲乙欄
所得税（源泉徴収）完全解説
仕組み・算出率・甲乙欄の違いを分かりやすく図解
📊 計算の基本式
●賞与から社会保険料を除いた額に税率がかかります。
●その算出率は「前月の給与と扶養人数」によって国税庁の「算出率表」から判定されます。
甲欄適用
扶養控除申告書を提出済み
扶養控除申告書を提出している場合に適用される標準的な税率です。
メリット：税率が軽減される
- ✅ 扶養人数に応じた控除が適用
- ✅ 一般的に税負担が軽い
- ✅ 正社員の多くはこちらを適用
乙欄適用
扶養控除申告書が未提出
扶養控除申告書を提出していない場合に適用される税率です。
注意：一般的に高めの税率
- ⚠️ 扶養控除が考慮されない
- ⚠️ 税負担が重くなる傾向
- ⚠️ 副業・アルバイトで多い
💡 重要なポイント
源泉徴収は「仮の税金」です。
年末調整や確定申告で正確な税額が計算され、
払いすぎた分は還付、不足分は追加徴収されます。
扶養控除申告書の提出は税負担を軽減する重要な手続きです！
所得税（源泉徴収）の仕組みをサクッと整理！
賞与の所得税は、まず社会保険料を差し引いた後の金額が課税対象になります。この金額に対して、「前月の給与額」と「扶養親族の人数」に応じた税率が適用されます。扶養控除申告書を出していると「甲欄」扱いで、税率が軽減。未提出の場合は「乙欄」となり、一般的に高い税率がかかるため注意が必要です。簡単に言うと、「どれだけ家族を扶養していて」「前月いくら稼いでいたか」で、賞与の手取りが変わる仕組みです。
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前月給与なし＆極端に差があるときの特別ルール
前月給与なし＆極端に差があるときの
特別ルール
源泉徴収の特殊な計算方法を分かりやすく解説
前月給与がゼロだったとき
💡 賞与を6ヶ月分の給与とみなして計算します
賞与が前月給与の10倍超のとき
💡 極端に高額な賞与の場合の調整計算です
重要な注意事項：対象期間が6ヶ月を超えると「÷12／×12」ルールに切り替わります
💡 なぜ特別ルールがあるの？
通常の計算方法では税負担が不適切になるケースがあるため、
これらの特別ルールで公平な課税を実現しています。
複雑に見えますが、税務ソフトが自動計算してくれるので安心です！
前月給与がない・極端に少ない場合の特例ルールを簡単に解説
前月の給与がない場合、賞与を6で割った額を仮の月収とし、その税率を使って税額を6倍します。賞与が前月給与の10倍を超えるときは、「賞与÷6＋前月給与」で税率を決め、差額に6をかけて計算します。支給間隔が6か月超なら「÷12／×12」に切り替わります。
詳細シミュレーション：賞与ごとの手取りを試算
詳細シミュレーション
賞与ごとの手取りを試算
実際の数値で見る、賞与から引かれる金額と手取り額
以下は、東京都勤務、扶養3人、前月給与30万円が基準で賞与ごとに計算した例です。
| 項目 | 賞与30万円 | 賞与60万円 | 賞与120万円 |
|---|---|---|---|
| 賞与額 | 300,000円 | 600,000円 | 1,200,000円 |
| 所得税 | 10,348円 | 20,696円 | 41,392円 |
| 健康保険 | 14,970円 | 29,940円 | 59,880円 |
| 介護保険 | 2,400円 | 4,800円 | 9,600円 |
| 厚生年金 | 27,450円 | 54,900円 | 109,800円 |
| 雇用保険 | 1,800円 | 3,600円 | 7,200円 |
| 控除額合計 | 56,968円 | 113,936円 | 227,872円 |
| 手取り額 | 243,032円 | 486,064円 | 972,128円 |
手取りの目安
目安として手取り＝額面×約0.81〜0.82となります。 賞与額に関わらず、この割合はほぼ一定です。
控除の特徴
社会保険料は額面増に比例し、所得税も算出率で段階的に上がるため、 大きな額になるほど「引かれている」感が強まります。
賞与の手取りはどれくらい？実例でざっくり把握
東京都・扶養3人・月収30万円のモデルケースで試算すると、手取りは「賞与の約81〜82％」が目安。賞与が増えると、社会保険料も比例して増え、所得税も段階的に上がるため、支給額が大きくなるほど引かれる金額のインパクトが大きく感じられます。
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「高い」と感じる理由とメンタル面も解明
-
税率が前月の給与に影響されるから不公平感あり
→ 前月残業が多ければ税率が跳ね上がる。 -
額面が大きいため定額の控除が目立つ
→ 控除額が数万円単位で見えるため心理的に重く感じる。 -
年末調整で返ってくる仕組みでも即時実感は薄い
→ 「戻る」と分かっても、還付のタイミングが年末で先延ばしだから。
社会保険料の細かいルールと上限ライン
- 標準賞与額：賞与額を1,000円未満切捨て → 単位千円で計算。
- 健康・介護保険の年間累計上限：573万円（4/1～翌3/31）
- 厚生年金の月額上限：150万円 → そこを超える部分は算入しない。
- 介護保険料率：協会けんぽでは1.6%（うち半分従業員負担）
- 年金保険料率：18.3%（うち半分従業員が負担）
- 雇用保険料は簡単：徴収額＝端数処理後の賞与×率
年末調整・令和6年定額減税を活かす方法
- 年末調整で源泉徴収の過不足を最終的に清算：返金・追徴が発生。
- 定額減税（2024年6月1日〜）：源泉徴収税額から自動控除。控除しきれない分は順次繰り越され、年末調整でも清算対象。
- 早めに控除申請を提出すれば即時的に手取り改善につながる可能性あり。
FAQ｜賞与・ボーナスの税金・保険料
Q.1 賞与の手取りが給与より少なく感じるのはなぜですか？
A. 賞与は支給額が大きいため、源泉徴収税や社会保険料の控除額も多くなりがちです。特に前月の給与が高いと所得税率も上がるため、手取りが想定より少なく感じられることがあります。
Q.2 前月の給与がないと、賞与の税金はどうやって決まりますか？
A. 前月の給与がない場合、賞与額を6で割った金額を仮の月収とみなし、「月額の源泉徴収税額表」を使って税額を決定します。その金額を6倍することで、源泉徴収額が算出されます。
Q.3 賞与から控除される社会保険料には上限はありますか？
A. はい、あります。健康保険と介護保険は年間累計で573万円まで、厚生年金は月額150万円までが標準賞与額の上限として扱われます。それ以上の金額には保険料はかかりません。
Q.4 扶養控除申告書を出していないと、どんな影響がありますか？
A. 扶養控除申告書を提出していないと「乙欄」での計算となり、税率が高めに設定されます。結果として、同じ賞与額でも手取りが少なくなる可能性があります。
Q.5 年末調整で賞与の所得税は戻ってくることがありますか？
A. はい、あります。源泉徴収は概算で行われるため、実際の年間所得に対して所得税を精算する年末調整で、過剰に徴収された場合は還付されます。逆に不足していた場合は追加で徴収されます。
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賞与手取りを増やすためにできる工夫
賞与から引かれる税金や社会保険料は複雑ですが、仕組みを知れば「なぜこんなに引かれるのか？」という疑問もスッキリ解消します。前月の給与や扶養控除、定額減税などを意識することで、手取りを増やす工夫も可能です。大切なボーナスを正しく理解し、納得して受け取れるようにしておきましょう。
- 前月の残業・手当を調整 → 算出率を抑えられる
- 扶養控除申告書を期限内に提出 → 甲欄判定で節税効果あり
- 定額減税の恩恵を最大化 → 年中に分割控除が適用される
- 財形貯蓄やiDeCoの活用 → 非課税枠を利用し、課税対象の見かけを減らす
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