
「男女間の賃金格差」という言葉を聞いたことがありますか?通常、賃金格差は企業規模や、職種、産業、年齢などで給料に差が出やすいものですが、性別によっても賃金に差があることが問題になっています。
今回はなぜ性別によって賃金に差が出るのか、賃金格差を改善するために企業ができることについて紹介します。とくに働く女性に関連のある記事なので、社会人女性や、これから社会に出る女性の方は、ぜひ最後まで読み進めてみてください。
この記事の目次
賃金格差が起きる理由
まず、賃金格差が起こる理由について解説していきます。要因として大きく2つです。1つ目は男女間の平均勤続年数と管理職比率に差異があること。2つ目は女性の非正規雇用者が男性に比べて多いということです。
男女間の平均勤続年数と管理職比率の差異
平均勤続年数と管理職に性別差がでてしまう要因として、女性には出産・育児による休職期間が大きく関係しています。どうしても実際出産する女性の方が取得できる日数が多いことから、勤続年数の減少につながってしまうのです。
勤続年数が減少すると、会社で成果を出す機会も失われるでしょう。ずっと働き続けている男性と比べると、昇進も難しくなってしまいます。そのまま復帰して働く方もいれば、出産を機に退職を選択する方もいますが、人によっては、出産によりキャリアが中断してしまう人も少なくありません。
復帰となると同期に男性社員がいた場合、大きくでおくれてしまう傾向にあります。仮におくれを取り戻せたとしても、並々ならぬ仕事への努力と、家庭と仕事の両立という困難に立ち向かわなければなりません。
そして日本ではまだ、男性が育児休暇を取ることは一般的に浸透していません。男性が女性の代わりに育児をして、女性が社会復帰するということが難しい世の中ということも勤続年数減少に拍車をかけています。
女性の非正規雇用者が多い
2つ目の事象が起きる要因は、出産・育児を機に退職して時間の融通の利くパートタイマーで働くという選択をする方が多いという点です。仕事と家庭の両立が困難という声は多く、正規雇用で働き続けるのが難しいと実感する方が多いのでしょう。
世界経済フォーラム(WEF)が2021年3月に公表したレポートによると、パートタイムで働く女性の割合が男性の約2倍となっていて、女性の平均所得が男性より43.7%低くなっていることが指摘されています。※1
このように世界的に見ると日本の男女間の賃金格差は非常に大きいことがわかります。その差は世界2位と、日本では女性の社会的地位が低い点が問題としてあげられています。
ちなみに、OECD(経済協力開発機構)加盟国の中で1位は韓国です。OECDの統計によると、男女間の賃金格差は韓国が34.6%、日本がl、欧米諸国が10%台でした。この数字から、2国だけ飛び抜けて男女間の賃金格差が大きいことがわかります。※2
改善するためにできること
ここでは、賃金格差を減らすためにできることについてお話しします。
賃金格差を無くすには以下の4つの取り組みが必要です。
- 男女の企業内での教育の差を埋めて管理職に就く男性と女性の割合を平均化する
- 残業時間の削減
- テレワークの積極的な導入
- 男性の育児休暇取得の推進
男女間の教育の差・管理職の男女比
1つ目の教育の差が出来てしまう要因についてお話しします。男女間で教育や管理職の比率に差がでるのは、男性の上司が多いため、女性に積極的に指導するのが難しい現状が挙げられます。
部下が女性だと指導しにくいといった理由で、接しやすい同性に指導を行う傾向が強くなり、女性が活躍できる場が減少していたのです。
企業内で教育の差を無くすことで、女性も昇進のチャンスができます。そうなっていくと、女性上司の進出に追い風となり、問題である賃金格差の減少に好影響があるでしょう。
残業時間の削減
2つ目の残業に関してお話しします。長時間労働が減少すれば、家庭の時間が増えます。家庭の時間が増えれば女性も家事・育児に取り組めるので、正規雇用を続けられるでしょう。結果的に企業で長期間働けるので、勤続年数からの給与アップや、昇進の可能性も出てくるので、賃金格差を減らせます。
テレワークの導入
3つ目のテレワークについてお話しします。テレワークが導入されると出退勤の時間が削減されます。プライベートの時間が増えることで、子供の送り迎えや朝の支度などを余裕を持って行うことができるようになります。結果的に正規雇用を続けられるので、賃金格差を減らせるでしょう。
男性の育児休暇取得
最後4つ目は男性の育休についてです。男性が育休を取得できれば女性は早めに社会復帰することが可能になります。そうすれば、会社で成果を残すことも可能となり、昇進したりして賃金格差を減らせるでしょう。
まとめ
賃金格差の改善は、日本全体の企業での取り組みが必要不可欠です。しかし、企業の数や種類が豊富なため、一朝一夕に改善するのは難しいのが現状です。ですが、このまま賃金格差が大きいままでは女性の社会進出が危ぶまれ、ひいては日本経済にも悪影響を及ぼしてしまいます。
さらに女性の働きやすい環境を構築することで、日本全体がさらに豊かになることにつながります。よって、この課題の改善は急務と言えるでしょう。

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