2022年、雇用保険料率が上がると聞いて不安になっている人もいるのではないでしょうか。雇用保険料は毎月の給与から差し引かれています。
雇用保険は加入者が困った場合に利用できる労働保険です。失業した場合などに利用できるため、「失業保険」とも呼ばれています。本記事では、雇用保険料について解説します。手取り給与を減らさないための工夫についても触れますので、参考にしてください。
この記事の目次
雇用保険料とは
雇用保険は社会保険の1つです。労働者を守るための保険であるため、使用者(役員や個人事業主など)は加入できません。雇用保険の主な加入条件は次の2つです。
- 31日以上継続した雇用が見込まれる場合
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
原則として学生は雇用保険の対象とはなりません。例外もあるため注意が必要です。
主な給付内容は次の4つです。それぞれについて見ていきましょう。
失業給付
失業者に対する給付です。失業保険と言われることもあります。受給条件を満たしている場合ハローワークで申請すれば、失業後の一定期間、毎月一定額の給付を受け取ることが可能です。失業理由や保険加入期間等により、受け取りはじめの時期や給付期間は異なります。
なお、65歳以上で雇用されている人が離職した場合は、一時金での支給となります。
就職促進給付
就職の促進や支援を行うための給付です。再就職手当・就業促進定着手当・就業手当などがあります。
教育訓練給付
就労者の能力開発やキャリア形成を支援するための制度です。一定の受給要件を満たした人が、対象となる教育訓練を受講修了した場合、受講費用の一部が支給されます。
雇用継続給付
育児休業者・高年齢者・介護休業者の雇用継続の促進や支援を目的とした制度です。
例えば、育児休業給付制度があります。特定の要件を満たした場合子どもが満1歳になるまで給付を受け取れます。
雇用保険料率について
2022年度の雇用保険料率は2段階で引き上げられます。ここでは一般事業の雇用保険料率についてみていきましょう。(※1)
2022年4月から
事業の種類 | 労働者の保険料率 | 事業者の保険料率 | 合計 | |
失業等給付・ 育児休業給付 の保険料率 |
雇用保険二事業の保険料率 | |||
一般の事業 | 3/1000 | 6.5/1000 | 9.5/1000 | |
3/1000 | 3.5/1000 |
2022年10月から
事業の種類 | 労働者の保険料率 | 労働者の保険料率 | 合計 | |
失業等給付・育児休業給付の保険料率 | 雇用保険二事業の保険料率 | |||
一般の事業 | 5/1000 | 8.5/1000 | 13.5/1000 | |
5/1000 | 3.5/1000 |
2022年4月の段階では、労働者の負担は変わりません。しかし、2022年10月より、労働者負担は、現在の0.3%から0.5%へと引き上げられるため注意が必要です。
例えば、現在月収20万円の場合、現時点では毎月の雇用保険料は600円です。しかし、10月から1,000円の負担となります。
雇用保険料率が上がる理由
雇用保険料率の引き上げ要因としては、新型コロナウイルス感染症の影響があげられます。感染症拡大の影響で休業や事業縮小を行う企業が増え、労働者の雇用環境が悪化しました。
失業者の増加などに伴い雇用保険の支出が増しています。また、感染症支援策として雇用調整助成金を支出したことにより、財政が悪化したのも一因です。
手取りを減らさないためにできること
雇用保険料率により、毎月の手取り額を減らしたくないと思う人もいるでしょう。ここでは、手取りを減らさないための工夫についてみていきます。
残業を減らし副業を行う
雇用保険料の算定には、時間外手当や通勤手当・住宅手当といった諸手当が含まれます。
副業可能な環境下であれば、残業を減らして時間を作り、空いた時間に副業を行ってもよいでしょう。時間外手当が下がった分、雇用保険料も低下します。さらに、副業収入に対しては、雇用保険料はかかりません。
教育訓練給付金を受け取る
失業時の保険、というイメージの強い雇用保険ですが、「教育訓練給付金」として在職中に受け取ることが可能です。給付金の対象となる教育訓練を受講・修了すると、受講費用の一部を受け取れます。
ふるさと納税を活用する
ふるさと納税を利用したことがない場合は、検討してみましょう。活用した翌年の住民税から寄附金額2,000円を引いた金額が控除されるため、手取り額増加につながります。
ただし、効果が出るのは納税の翌年となる点を把握しておきましょう。なお、控除額には上限があります。上限額以上の寄付を行うと、控除されないため注意が必要です。
まとめ
雇用保険は失業した場合などに給付を受け取れる制度です。2022年4月から雇用保険料率が上がります。2022年10月からは、労働者の雇用保険料率もあがるため負担に感じる場合もあるでしょう。
教育訓練給付金やふるさと納税などを活用すると、負担軽減が可能です。必要に応じて取り組んでみてはいかがでしょうか。