年金は将来の生活費用の要ですが、公的年金だけでは不安で私的年金を考える方も多いです。しかし、実は医療従事者だけが加入できる年金制度があることをご存知でしょうか?
この記事では、医療従事者が加入できる年金制度を紹介します。最後まで読めば、将来の資金についての知識を深めることができますので、ぜひご覧ください。
この記事の目次
公的年金制度の活用
公的年金制度は国の社会保障の1つで、社会全体で高齢者の生活を支える制度です。医療従事者が加入できる公的年金制度は3種類に分かれます。
- 国民年金
- 厚生年金
- 全国国民年金基金
この章ではこれら3つの公的年金制度について詳しく紹介します。
国民年金
国民年金は日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の方が全員加入する年金制度です。企業に勤めている場合は、企業が加入している厚生年金保険や共済組合が代わりに国民年金を納めますが、自営業である開業医の場合は自身で年金を納める必要があります。
国民年金の保険料は所得にかかわらず一律で同じ料金ですが、毎年金額が少しずつ変わります。
年度 | 国民年金の保険料(月額) |
令和4年 | 16,590円 |
令和5年 | 16,520円 |
令和6年 | 16,980円 |
国民年金は納付書払い、クレジットカード払い、口座振替払いでの支払いが可能です。クレジットカード払いにするとクレジットカードのポイントを貯めることもできるほか、まとめて前払いすることで割引が適用されます。
厚生年金
企業勤めの場合は、厚生年金に加入をする必要があります。病院や薬局に雇用されている医療従事者は厚生年金に加入し、国民年金と厚生年金が給与から天引きされる方法で納付するケースがほとんどです。
保険料は収入により異なり、多く支払えば支払うほど受け取る年金が多くなります。そのため、個人事業主である開業医よりも、将来受け取る年金額が手厚いです。
全国国民年金基金(日本医師・従業員支部)
全国国民年金基金は、国民年金に上乗せする公的な年金制度です。個人診療所の医師や従業員、家族や非常勤の医療従事者が加入対象です。
全国国民年金基金(日本医師・従業員支部)のメリットは複数あります。
- 掛金上限額(816,000円/年)まで全額控除対象
- 受け取る年金に公的年金等控除が適用される
- 終身年金と確定年金の組み合わせにより自由に設計できる
- iDeCo(イデコ)との併用が可能である(ただし合計で68,000円/月まで)
厚生年金に加入すると基金から脱退となりますが、支払った分は将来の受給額に上乗せされるため支払いが無駄になることはありません。
公的年金は自営業か企業勤めかで将来受け取る年金額に大きな差が出ます。国民年金のみの加入に不安を感じる場合は、全国国民年金基金などの利用も検討してみましょう。
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個人型年金保険
個人で任意に加入する私的年金を「個人型年金保険」と呼びます。また、医師向けの私的年金制度もあります。ここでは、将来の老後の備えを強化する個人型・私的年金制度について紹介します。
個人型年金保険
個人型年金保険は、保険会社が運用する保険商品の1つです。企業や所属団体に関係なく加入でき、支払い金額・受給金額・受給方法などさまざまな種類があります。
毎月支払う保険料は個人年金保険料控除の対象となる可能性があります。年末調整や確定申告により支払金額が控除され、所得税や住民税が軽減されるケースもあるので、しっかりと確認をしましょう。
保険医年金や日本医師会年金
医師や歯科医が加入できる特別な私的年金制度が「保険医年金」と「日本医師会年金」です。この2つは加入条件や制度が異なります。
医師向け私的年金制度 | 加入条件 | 内容 | 控除 |
保険医年金 | ・保険医協会や保険医会への入会が必要
・満74歳までに加入、79歳まで継続加入可能 ・申込受付期間が限られている |
・1口単位での積立方式
月払:1口1万円(通算30口まで) 一時払:1口50万円(加入日毎に40口まで) |
生命保険控除の対象となる |
日本医師会年金 | ・日本医師会の会員
・64歳6か月未満での加入 |
・必須:基本年金保険料(12,000円/月)積立方式
・任意:加算年金保険料の積立方式 【加算年金保険料】 月払:1口6,000円 一時払:1口10万円 |
生命保険控除の対象にならない |
注意点としては、保険医年金は申込期間が限られていることです。例えば2024年1月1日からの加入分の申込期間は、2023年9月1日〜10月25日となっています。
また、保険医年金は生命保険控除の対象になりますが、日本医師会年金は生命保険控除の対象にならず節税の効果がない点に注意しましょう。
※2
自己投資と資産形成
年金制度のほかに将来のための資金を確保するには、投資などで資産形成をする方法もあります。しかし、実は医療従事者は金融リテラシーが低く、投資に失敗しやすいと言われています。例えば、低金利のままで資産を放置していたり、高級マンションや高級車などの支出が多かったりするケースも多いです。
そのため、資産形成を目指す場合は資産運用やお金の勉強などの自己投資を行うことが大切です。特に医療関係者は社会的信用が高く、その信用力から金融機関から高額な不動産向け融資を受けてしまう方もいます。
- 億単位のローンを組んでしまった
- FXで借金を抱えてしまった
- 投資に夢中になり本業が疎かになってしまった
このような状況に陥らないためにも、しっかりと資産運用の勉強を行い、将来のための資産を形成していきましょう。
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http://research-online.jp/all/property/17192/
http://research-online.jp/all/asset/16975/
http://research-online.jp/all/asset/16324/
まとめ
医療従事者は専門職のため、将来の資金に余裕があると思われがちです。しかし、開業医の場合は公的年金が国民年金のみであったり、勤務医の場合は厚生年金分も給与から天引きされ貯蓄が難しかったりと、医療従事者ならではの不安もあります。将来の生活のためにしっかりと年金対策を行うとともに、資産運用に関する勉強も少しずつ始めましょう。
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