教育格差解消への期待|オンライン教育事業の台頭

はじめに

子どもの教育はいつの時代でも親の頭を悩ませる問題です。早ければ幼稚園からの早期教育に習い事、小学校低学年から塾に通う児童も珍しくありません。
中学受験や高校受験を視野に入れるべき年齢になれば、徹底的な指導を行う専門の塾へ子どもを通わせたいと願う親も多いでしょう。
 
しかし、少子化と不況が続く現代、同じ日本国内においても地域によって教育格差が出ている事実を直視しないわけにはいきません。
教育ビジネスに力を入れる企業はいち早くこの問題に目を向け、現在、オンラインを利用した指導方法を広く展開しようとしています。
 

少子化と人口流出が招く都市部と地方の教育格差


首都圏をはじめ、大都市における教育環境と、少子化や若年層の流出などによる人口減少が進む地方とでは、子どもに与えられる教育内容に差が出てしまうという声が上がり始めています。
 
都市部では有名講師を進学校や、プロとして活躍する家庭教師といった人材を確保しやすい環境が出来上がっています。一方、地方ではとても同等とは言えない状況です。
地方では少子化や人口減少が原因となり、大手の進学校の撤退が相次いでいます。プロ家庭教師も待遇の改善を求め、都市部での活動を試みて地方から流出するケースが少なくありません。
 
結果として都市部の教育環境が強化され、地方は弱体化が進むという現象が起こっています。地方では子どもに質の高い教育を与えたくても、環境が原因で断念せざるを得ない家庭が見受けられるようになりました。
 

長引く不況、各家庭の経済格差も影響を及ぼす

アベノミクスの評価が分かれている事実はさておき、少しずつ上向きに転じたい日本の経済ですが、現実ではまだ楽観できない不況状態が続いています。不況は家庭を直撃し、教育にも影響を及ぼすことは間違いありません。
不況での業績悪化に各企業が頭を悩ませる中、子どもの今後の教育費を考えると暗鬱な気分になる家庭も多いでしょう。
 
遠い場所にある進学塾に通わせてでも質の高い教育を与えたい、有名講師の講義を受けさせたい。そう願っていても家計の問題で実現できない事情が、実現できる経済力を持つ家庭との格差を生じさせます。
塾の費用、移動費、有名講師の特別講義、プロ家庭教師の指導…と、日本が裕福な時代には当然のように受け止められていた教育事情は、今や一部のものとなりつつあるのです。
 

今の時代だからこそ始まったオンライン教育の台頭

そこで注目するべきは、オンライン教育事業の台頭です。大手進学塾や予備校、プロ家庭教師を斡旋する教育企業は、既に都市部と地方の教育格差を案じ、早い時期から参入を試みていました。
オンラインを利用して講師、そして生徒となる子どもを結びつけ、質の高い教育を提供できるサービスを開始したのです。現在では多くの教育企業が取り入れており、今後はスタンダードになる可能性を秘めています。
 
地方の生徒数や人材事情で続けることができなかった塾や予備校の経営ですが、オンラインへフィールドを移してからは、急激に都市部と地方の教育格差を埋める役割を担うようになったのです。
オンライン教育のメリットは、遠く離れていても講師の授業を平等に受けられることにあります。また、費用も通塾と比較すると格段に下がり、より多くの家庭が質の高い教育を希望できるようになりました。
都市部だから、地方だから、経済格差があるから…といった区別が無意味な時代が訪れたのです。
 

新時代の指導方法を模索し続ける教育者たち

オンラインによる指導を行うと言っても、様々な方法が模索されている状況です。初期は「講師の授業の録画をいつでも見ることができる」という方法が多く、画期的ではありましたが、評判は微妙なものでした。
もちろん、録画による授業にも大きなメリットがあります。理解できない部分を何度でも見直すことができる、どんな場所や時間でもデバイスさえあればすぐに勉強を始められるという面は子どもの勉強意欲を支えます。
しかしデメリットとして「講師との距離を感じる」「いつでも見られるかと思うと集中できない」といった声が上げられたのも事実でした。
 
生徒によって適した勉強方法は異なります。録画による授業が性に合う子どもであれば、録画授業は成績を伸ばす重要なツールになり得ますが、性に合わなければつまらない、勉強嫌いになる危険性を招く方法でもあったのです。
教育ビジネスを手がける企業は様々な意見を検討し、オンライン教育とはどうあるべきかと模索する日々でした。
そんな折り、やはり通塾による授業が最適なのだろうかとの声もある中、インターネットの発達が大改革を起こしたのです。
 

オンラインでいつでも繋がるライブ空間の共有


インターネットの発達と一般家庭への普及により、リアルタイムで講師と生徒を繋げた授業が可能になりました。高品質の授業がリアルタイムで、場所を問わずに受けられるようになったのです。
一方的になりがちな録画授業ではなく、質疑応答がその場で可能なシステムは、都市部と地方の教育格差を驚くほど急速に埋めてくれました。
意外な効果としては、通塾するよりも自宅でリラックスして授業を受けられるため、以前よりも成績が上がった生徒がいるということでしょう。
 
通塾で緊張感を持って勉強をしたほうが刺激になる生徒もいれば、リラックスした環境でなければ勉強がしにくい生徒もいます。リアルタイムによるオンライン授業は、後者の生徒に好影響をもたらしたと言えます。
塾や予備校だけではなく、家庭教師もオンラインでの指導を行うことが可能になっています。1対1での授業は訪問型の家庭教師と同様で、顔を合わせたオンライン授業によって信頼関係や距離感が損ねられることもないと評判です。
 

講師陣、家庭教師陣にも恩恵を与えたオンライン授業

オンライン授業は子どもたちだけではなく、講師や家庭教師にも予想外の恩恵を運んでいます。塾への通勤や家庭教師として訪問するための移動時間が大幅に短縮され、担当生徒数に余裕が出たのです。
講師や家庭教師のほとんどは、授業のコマ数、生徒の数で収入が決まります。移動時間の短縮により、講義できる授業コマや担当できる生徒が増え、収入がダイレクトに増えた講師や家庭教師も少なくありません。
 
収入の余裕は心の余裕を生み、より仕事に熱を入れられるやる気に繋がります。結果として子どもが受ける教育の質が高まる可能性に直結するでしょう。
最近ではリアルタイムのライブ授業と、録画型の授業を同時に受けられる塾も増えつつあります。講師にとっては更に収入を増やすチャンスです。
 
余談ですが、親としても意外なメリットがあったようです。「家庭教師の先生の訪問時に掃除を頑張らなくていい」と、密かに喜ぶ人も多いとか。確かにちょっとした嬉しい一面だと言えそうです。
 

確実に生じていた教育格差を埋めるオンライン教育事業

都市部と地方の教育格差の問題に気付いていた教育ビジネス関係者は、インターネットの発達により、一気にオンライン教育のジャンルへ打って出ました。その結果、今では一大ビジネスのプラットフォームとなっています。
オンラインならではの問題がないわけではありません。ネット回線の突然の遮断による授業の中断も考えられます。子どもの性質によっては通塾のほうが向いていることも考えられます。
 
しかし、子どもが平等な教育を受けられる時代が確実に訪れています。居住地に関わらず、質の高い教育が期待できるオンライン教育事業は、これからも注視していきたいビジネスモデルです。

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