2022年8月8日、ソフトバンクグループの2023年3月期第1四半期決算説明会が、おこなわれました。それによると、過去最大の赤字3.2兆円に達したことを公表しています。
大幅な赤字に陥った理由を代表取締役会長兼執行役員の孫正義氏が、連結業績について説明しています。ソフトバンクグループが、なぜこのように大きな損失を被ることになったのかについて紹介します。
この記事の目次
ソフトバンクグループについて
ソフトバンクグループとは、携帯電話の電気通信事業やインターネット関連会社を傘下に置く日本の持ち株会社です。
日経平均株価や TOPIX Core30、JPX日経インデックス400の構成銘柄のひとつの企業で、銘柄コードは【9984】。日経平均株価に採用される銘柄には、トヨタ・NTT・明治HDなど日本を代表する企業が多数含まれています。ソフトバンクグループもその中のひとつです。
日本のインターネットやモバイル事業に大きな影響を与えてきた
ソフトバンクグループは「情報革命で、人々を幸せに」という経営理念を掲げています。
2001年ブロードバンド事業に参入し、日本の通信インフラをけん引して大きな影響を与えました。インターネットが普及し始めた当時、世界でもっとも速くて安いインターネットサービスの提供をはじめています。
2004年に日本テレコム、2006年にはボーダフォン日本法人を買収し、携帯電話の電気通信事業に参入しました。また2008年に、日本で初めてiPhoneの販売を開始したのもソフトバンクです。
ソフトバンクグループにはどんな会社が含まれる?
ソフトバンクグループの企業でも、よく知られているところを中心に紹介します。
ソフトバンク株式会社
白戸家のCMでおなじみの携帯端末の販売やモバイル通信事業をおこなう会社です。
ヤフー株式会社
ポータルサイトで有名なYahoo!JAPANの運営会社です。サイト内の広告やブロードバンド関連の事業が主な収益となっています。
株式会社ベクター
パソコン用ソフトウエアのダウンロード販売や広告販売をおこなっている会社です。国内最大級のソフトウエアをダウンロードできるサイト「Vector」を運営しています。
このほか、以下の企業もソフトバンクグループとなります。
- PayPay株式会社
- アスクル株式会社
- 株式会社ZOZO
- 福岡ソフトバンクホークス株式会社
赤字になった理由
ソフトバンクグループは、2022年4月より6月までの四半期の純損失は3.2兆円と公表しました。その前の四半期でも約2兆円の赤字となっています。
主な理由としては「世界的な株価の下落」と「急速に進んだ円安が影響した」としています。
世界的な株式市場の低迷
ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)が保有する多数の銘柄の公正価値が下落しました。このため評価損失を計上したのが理由のひとつと発表されています。
ソフトバンク・ビジョン・ファンドは、イギリスに本社を置くプライベート・エクイティ・ファンドにより運用される投資ファンドです。2017年に孫正義氏とサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン副皇太子らによって発足しました。
出資社はソフトバンクのほかに以下の企業や事務所が参加しています。
- ムバダラ開発公社
- Apple
- クアルコム
- ラリー・エリソン個人事務所
- 鴻海(ホンハイ)精密工業など
参加事業所は10社前後、運用規模は10兆円超です。
プライベート・エクイティ・ファンド(プライベートエクイティ投資)とは
プライベート・エクイティ・ファンドとは、成長余地があるけれど、何らかの理由で成長できない企業に投資します。企業価値を高めてから売却し利益を得る投資方法です。
急速に進んだ円安の影響
2022年6月に円相場は一時1ドル=135円台前半となりました。これは1998年以来24年ぶりの安値となります。円安の勢いは止まらず、8月に入っても130円台にとどまり続けています。
ソフトバンクグループの時価純資産は、ドル建てでは3月末から3か月で約160億ドル(約2兆1,329億円)減少。円安の影響で3か月間の間に、国内会社の外貨建ての純負債が円ベースで増加。その結果、約8,200億円の為替差損が発生しているそうです。
円安の損失とSVFの約2.3兆円、合計約3.2兆円の赤字となったのが今回の四半期の決算報告となりました(※1)。
孫正義氏は「創業以来最大の赤字を出したことを真摯に反省すべきと考えている」と語っています。
まとめ
2023年3月期第1四半期決算説明会でソフトバンクグループでは、過去最大の赤字3.2兆円に達したことを公表しました。
ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)が保有する多数の銘柄の公正価値が下落したことがひとつめの原因としています。
またふたつめの理由として円安の影響を上げています。創業以来の最悪の赤字が続いているとし、あらゆるコストダウンを図るとしています。
上記の発表を受けてソフトバンクグループの株価が、どのようになっているのか調べてみるのもいいかもしれませんね。