物価高騰が続いているなか、日々の暮らしで出費を抑えている方も多いでしょう。とはいえ、節約のみで対策できるものではありません。余裕のある生活をするためには、給料アップも欠かせない要素のひとつです。
日本では、第二次補正予算案が作成されたあたりから賃上げについて検討されていると話題になりました。賃上げ政策の事実性と具体的な背景について解説します。今後の生活にも影響するため、資産を増やせるよう情報収集に努めましょう。
この記事の目次
賃上げって本当?
そもそも、日本の賃上げに関する噂は本当なのでしょうか。賃上げについて、日本政府ではどのような取り組みがなされているかを解説しましょう。
第二次補正予算の狙いである
結論から述べると、賃上げが検討されていることは事実です。この政策は、2022年12月2日に成立した第二次補正予算の狙いのひとつとされています(※1)。度重なるエネルギー高に備えるべく、中小企業・小規模事業関連では新たに合計1兆円以上の予算が追加(※2)されました。
経済産業省が作成した「令和4年度補正予算のポイント」でも、「2.継続的な賃上げを促進するための中小企業等の支援」で示されています(※3)。
賃上げの具体的な政策
第二次補正予算の賃上げ政策は、中小企業の支援に重点を置いています。これらの企業は、大企業と比べると経営に苦しんでいるケースが少なくありません。ただし、給料が上がらなければ従業員の生活は苦しくなります。
日本政府は、賃上げしやすい環境を整えようと策を打ち出しました。今後、厚生労働省に申請した中小企業には助成金が支給される予定です。スムーズに賃上げが行われるためにも、着々と準備が進められています。
賃上げが打ち出された背景
岸田内閣が賃上げに興味を示した背景には、実質賃金の大幅な低下があります。実質賃金とは、物価の上昇を加味したうえでの賃金です。いくら給料が増えたとしても、物価が高騰すれば消費額も大きくなります。現実的に使えるお金を把握するには、これらの数値も押さえなければなりません。
2022年10月の毎月勤労統計調査によると(12月6日に発表)、前年同月比では実質賃金が2.6%も減少しました(※4)。2022年度においては、減少率が2%を上回ったのは初めてとされています(※5)。現状を早急に改善するためにも、賃上げがテーマのひとつとして打ち出されました。
春闘で成果を出すことが目標
岸田内閣は、第二次補正予算時の賃上げについて「春闘で成果を出すことが目標」と宣言しています(※6)。春闘とは、毎年春に労働組合が賃上げなどを要求する闘争です。ただし、単純に給料が増えるだけでは不十分です。物価の高騰にも対応できる額でなければなりません。
あくまで、日常生活で困らない程度に賃金をもらえる社会になる必要があります。そこで、第二次補正予算により具体的な対策が講じられました。
どのくらい給料が上がる?
賃上げ政策が行われたとしても、実際に国民の給料に反映されなければ意味がありません。どのくらいの賃上げが行われるかを気にする方もいるでしょう。仕組みが複雑であるため、補助金の種類ごとに解説します。
ものづくり補助金は45円以上を想定
第二次補正予算では、生産性革命推進事業に2,000億円を追加しています(国庫債務負担を合わせると4,000億円(※7))。その意図は、ものづくり補助金によるサポートを拡充するためです。生産性革命推進事業とは、ITの導入や温室効果ガス削減などに取り組む中小企業へ補助金を支給する事業です。
当該事業終了後、3〜5ヶ月以内に最低賃金を45円以上引き上げた企業に対し、補助金の上限額が最大1,000万円以上に引き上げられます(※8)。そのため、最低でも45円は賃上げしようと考える経営陣も現れやすくなるかもしれません。
事業承継・引継ぎ補助金は30円以上を想定
生産性革命推進事業には、事業承継・引継ぎ補助金もあります(※9)。こちらは、企業同士で買収(M&A)が行われた際に設備投資を支援するための制度です。通常であれば、補助金の上限額が600万円までに設定されています(※10)。
第二次補正予算では、地域別の金額より30円以上最低賃金を上げた企業に上限800万円の補助金を支給すると決められました(※11)。中小企業は、2021年で4,000件を超える買収が行われています(※12)。このような企業に勤める方にもよい影響を与えるかもしれません。
対象の企業は?
上述したとおり、賃上げの主な対象は中小企業です。はじめに中小企業からサポートし、最終的には日本経済が円滑に進むよう計画されています。ものづくり補助金の対象は、以下の4点です(※13)。
- 経営に苦しむ企業(通常枠)
- デジタル分野に力を入れる企業(デジタル枠)
- 温室効果ガス削減に取り組む企業(グリーン枠)
- 海外展開を目指す企業(グローバル市場開拓枠)
いずれかの特徴を持っていれば、最低賃金を年45円に引き上げると補助金をもらったあとでも上乗せして支給されます。
ほかにも、先程も説明したとおり買収後にしっかりと事業を引き継ぐ中小企業も対象です。中小企業への就職を考えている方は、このあたりの情報も調べておくといいでしょう。
http://research-online.jp/all/economy/15179/
http://research-online.jp/all/economy/15006/
http://research-online.jp/all/economy/14589/
まとめ
今回は、日本でも注目すべきトピックとして扱われた賃上げについて解説しました。給料が増えれば、物価高の状況にも対処できる確率が高まります。とくに中小企業へ勤めている方は、期待できるニュースとなるはずです。
お金を効率よく稼ぐには、このような政治に目を向ける必要があります。節約のみならず、情報収集しながら資産を増やしたい方はリサーチ・オンラインへお問い合わせください。