京セラの創設者、「新・経営の神様」と呼ばれる稲盛和夫氏が2022年8月24日に亡くなりました。
何気なく使っているスマホや携帯電話の普及のきっかけを作り、現在のKDDIを設立。京セラを大企業に育て、大きな負債を抱えて会社更生法を申請した企業も立て直しています。
稲盛和夫氏と京セラについて紹介します。是非最後までお読みください。
この記事の目次
京セラとは
京セラ株式会社は、京都伏見に本社をおく会社です。
日経平均株価やTOPIX Large70を構成する銘柄のひとつです。東証プライムに上場し、銘柄コードは【6971】。会社の設立は1959年4月1日になります。
京セラは、以下のようにさまざまな事業に携わっています。
- 電子部品
- ファインセラミック部品(焼き物の技術を発展させたもの)
- 半導体部品
- 情報機器
- 通信機器
- 太陽電池
- セラミック
- 宝飾
京セラの創設者、稲盛和夫氏
稲盛和夫氏は1932年1月21日生まれ。京セラやKDDIの前身「第二電電」の創設者として知られています。
出身は鹿児島県鹿児島、1959年27歳の時に京都セラミック(現在の京セラ)を創設します。創設当時の役職は取締役部長でした。1966年、代表取締役に就任しています。
日本の高度成長期、海外出張し営業をおこない受注する
京都セラミック創業間もない頃から、高い目標を掲げていた稲盛氏は早くから海外市場への進出を考えていました。
会社が注目を浴びることとなったIBMとの取引は、稲盛氏の営業がきっかけです。稲盛氏は自ら渡米し、IBMよりIC用アルミナ・サブストレート基板を受注しました。
当時の為替レートは、1ドル=360円。今のように海外旅行するのが日常的ではなく、渡米するのも企業には大きな負担でした。2022年9月11日時点でのレートが1ドル=142円と比較してもかなり負担だったとわかるでしょう。
アメリカ以外にヨーロッパでも営業をおこない、京セラは海外から注文を取り付けるようになりました。
1969年初の海外進出をはたし次々に事業を拡大
1969年にはアメリカで、京セラ初の海外現地法人を設立。1971年にはアメリカのサンディエゴで現地生産を開始しました。
その後1972年、京セラは東京証券取引所に株式上場しています。
京セラ以外での稲盛氏の業績
稲盛氏は京セラでの業績以外にも、下記のような功績を残しました。
- 通信事業自由化の音頭をとって、民間初のDDI(現在のKDDI)を設立
- 複写機メーカー三田工業を支援、子会社化し予定より7年早く更生計画を終了
- 経営不振だった日本航空会長に無報酬で就任、3年足らずで再度上場する
携帯電話事業の始まりとDDI(現在のKDDI)の設立
1984年、稲盛氏が音頭をとって国による通信事業自由化を決定し、京セラが民間初のDDIを設立しています。今では当たり前になったスマホ。普及のきっかけを作ったのは稲盛氏の働きかけによるものでした。
複写機メーカー三田工業を支援
コピー機を製造するメーカー、三田工業が会社更生法を申請したのは1998年8月でした。負債総額は2,000億円を超え、工業で戦後最大級の倒産といわれています。
2000年に京セラの子会社となり、2002年に予定より7年早く更生計画を終了しました。
会社更生法適用、日本航空の再生を支援
2010年に日本航空は2兆3,000億円の負債を抱えて、会社更生法を適用しました。日本航空を再生するため、政府からの要請をうけて、稲盛氏は会長に無報酬で就任します。
破綻当時の日本航空は、再建不可能といわれる状況でした。稲盛氏は、積極的な社員の意識改革や1万6千人のリストラの断行をおこないます。
そして着任翌期に営業利益1兆8,000億円の高収益企業に再生させ、3年足らずで日本航空を再度上場させました。
経営の理念「フィロソフィ」と「アメーバ経営」
フィロソフィとは、稲盛氏が経営や仕事をする中で人生について自問自答して生まれた哲学です。
稲盛氏の「人間としてこういう生き様が正しいと思う」がベースになっています。フィロソフィの理念で人生を送れば幸福になり、会社全体も繁栄すると言われています。
- 人間として何が正しいのか
- 人間は何のために生きるのか
これらの根本的な問いに真正面から向き合って導き出した答えで、京セラを今日まで発展させた経営哲学です。
アメーバ経営も、フィロソフィ同様、稲盛氏が会社を経営する中で生み出した経営管理手法です。
この2つは、京セラの発展の礎となっています。三田工業や日本航空を立て直せたのも、フィロソフィとアメーバ経営が大きく影響しています。
まとめ
京セラ創設者、稲盛氏の業績は経営哲学「フィロソフィ」「アメーバ経営」に基づいたものでした。
これによって、京セラは発展し、会社更生法を受けた三田工業や日本航空も生まれ変わりました。現在はどの企業も優良企業として知られています。
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