年金の受け取り時期を考える:最適な選択をするためのポイント

我々は老後を迎えると、基本的に支給される年金(老齢基礎年金・厚生年金)が収入源となります。会社を定年退職したあとに年金で生活するのが一般的ですが、受け取り時期の変更も可能です。

 

この記事では、受け取り時期において最適な選択をするためのポイントを紹介します。将来の生活に関わる内容であるため、ライフプランを考える際の参考にしてください。

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受給開始年齢の選択

まずは、老齢年金の受給開始年齢の選択について紹介します。受け取るタイミングは、条件次第で自由に変えられます。定年退職後も企業に勤める方や早期退職される方は、しっかりと内容を押さえておくといいでしょう。

年金の受け取りは原則65歳

年金の受給が開始されるのは、原則65歳からです(※1)。老齢年金には、老齢基礎年金と老齢厚生年金の2種類があります。老齢基礎年金が支給されるには、10年以上保険料を納付することが条件です(※2)。大学生で支払いが免除されている期間も、10年の中に含まれます(※3)。

 

一方で厚生年金とは、サラリーマンや公務員が対象となる制度です。基礎年金に上乗せされる形で年金が支給され、加入者は2号被保険者として扱われます。老齢基礎年金の受給資格が10年以上かつ老齢厚生年金に1ヶ月加入するのが条件です。(※4)。

繰り上げ受給

支給開始年齢は65歳が原則ではあるものの、60歳〜64歳での受け取りも可能です(※5)。この制度は、繰り上げ受給と呼ばれます。

 

受け取りの開始時期が早まるため、支給額は減額するのが特徴です。「0.4%×繰り上げ請求月から65歳に達する日の前月までの月数」で計算されます(※6)。 

 

年額120万円支給される方が60歳に受け取る場合、計算式は「120万円×0.4%×12ヶ月×5年(65歳−60歳)」です。減額分は28万8,000円と求められました。

 

繰り上げ受給のメリットは、早期退職に備えられる点です。65歳以前に会社を辞めた場合、貯金を切り崩しながら生活しなければなりません。繰り上げ受給をすれば、こうしたリスクにも対応できます。

 

ただし、支給総額は下がるため注意してください。加えて、遺族厚生年金を受給している方は対象外です(※7)。

繰り下げ受給

繰り下げ受給は、年金の支給開始時期を66歳以降に遅らせる制度です。最大75歳まで繰り下げることができます(※8)。繰り上げ受給と同じく、遺族厚生年金を受給するときは、当該制度が使えないため注意が必要です(※9)。

 

支給時期が遅れるため、年金の支給総額は増額します。増額分の計算は「0.7%×65歳に達した月から繰り下げ申し出月の前月までの月数」です(※10)。

 

年間120万円貰う方が、75歳まで支給時期を遅らせた場合は「120万円×0.7%×12ヶ月×10年」で計算されます。この場合の増額分は100万8,000円です。

 

繰り下げ受給すると、長生きする分だけ年金額が増えます。しかし、年金の支給開始時期は遅れるため、他の方法で収入源を確保しなければなりません。早く亡くなった場合、増額分が貰えなくなる点もデメリットです。

 

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現金需要とのバランス

令和5年度の68歳以上の老齢基礎年金は、一般的に月6万6,250円(満額)が支給されます(※11)。老齢厚生年金の場合は、夫婦2人分で月22万4,282円が標準です(老齢基礎年金も含めて)(※12)。

 

しかし、一世帯あたりの老後の生活費は月28万円程度かかるともいわれています(※13)。年金制度だけでは、生活費をカバーし切れません。貯金を切り崩すだけでは、将来の生活に不安を覚えるでしょう。他の収入源も、確保したほうが賢明です。

 

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他の収入源との関係

年金は、他の収入があっても問題なく支給されます。収入との関係については、種類によって大きく異なります。年金の支給が開始されたあとも働く方は、この関係性をしっかりと押さえてください。

給与収入がある場合

老齢年金は、給与収入があっても支給されます。しかし、老齢厚生年金の場合は、年金額と給与収入が月48万円を超えると満額支給されません(※14)。この制度が在職老齢年金です。

 

支給される額は「基本月額 −(総報酬月額相当額+基本月額−48万円)× 1/2」で求められます(※15)。例えば、年金額が月額20万円で給与収入(総報酬月額相当額)が50万円の場合を想定しましょう。

 

「20万円−(50万円+20万円−48万円)×1/2」で、月の支給額は9万円と計算されます。全額受給したい場合は、年金額と給与収入の合計を48万円に抑えてください。

事業収入がある場合

自営業者やフリーランスは、第1号被保険者に該当します。支給されるのは老齢基礎年金のみです。老齢厚生年金の対象にはならないため、事業収入を得ても満額受給できます(※16)。

 

もし、年金のみで生活が苦しいと感じたら、Web関連の仕事(WebライターやWebデザイナーなど)や趣味でお金を稼ぐのも方法のひとつです。

不動産収入がある場合

駐車場やアパートを他人に貸しており、不動産収入を得ている方も年金は満額貰えます(※17)。事業収入と同様に、老齢厚生年金の対象にはならないからです。

 

会社員として勤務しながら不動産収入もある方は、給与収入のみが在職老齢年金の算定に考慮されます。固定資産税や都市計画税等の税金は増えるものの(※18)、不動産収入も老後の備えに適しています。

 

まとめ

今回は、年金の受け取り時期や他の収入源との関係性を紹介しました。原則65歳までですが、手続きすれば繰り上げおよび繰り下げの支給も可能です。ただし、各々にメリットとデメリットがあるため、慎重に受け取り時期を選んでください。

 

老後の生活に備えるには、年金対策が重要です。受け取り時期の他にも、さまざまな制度を押さえる必要があります。年金対策のご相談は、公式LINEからお問い合わせください。

 

 

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