この記事の目次
はじめに
夏のボーナスの時期がやってきましたね。
公務員のボーナス支給日は6月30日、一般企業のボーナス支給日は7月初旬(7月5日〜15日)くらいが多いと言われております。
ボーナスは働く人にとって楽しみの一つですよね。
旅行や外食などの計画を立てる人、堅実に貯蓄する人もいれば、ローンの返済や毎月の生活費の赤字の補填に充てる人もいるでしょう。
ボーナスの金額は、会社にもよりますが、だいたい「月給の何か月分」等と想定されます。
ただし、想定した金額がそのまま口座に振り込まれるわけではありません。
本日はボーナスの手取り金額の計算方法についてご紹介致します。
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ボーナスの手取り額を計算する必要性
ボーナスからは通常、大きく分けて「税金」と「保険料」が差し引かれます。
差し引かれる前の金額を額面、差し引いた後、実際に振り込まれる金額を手取り額といいます。
額面の金額で計画を立ててしまうと、実際振り込まれた金額が少なくて、「あれ?足りない!」ということになってしまいます。
そのため、ボーナスの手取り額を計算しておくことが必要になるのです。
ボーナスから差し引かれる税金は何の税金?
ボーナスから引かれるのは、「所得税」です(2037年までは、東日本大震災の復興にかかる財源確保のために、復興特別所得税も併せて課税されます)。
この「所得税」は、毎月の給与からも引かれています。
会社など給与の支払者は、給与の金額に応じて、「所得税(および復興特別所得税)」を従業員の給与からあらかじめ差し引いて、国に納めています。
これを「源泉徴収」といい、ボーナスも源泉徴収の対象です。
ちなみに給与からは住民税(県民税、市民税など)も引かれていますが、ボーナスからは住民税は引かれません。
ボーナスから差し引かれる税金はいくら?
ボーナスに対する所得税率は、毎月の給与とは異なります。
基本的に、前月の給与(社会保険料等を控除した後の額)と扶養親族等(源泉控除対象配偶者および控除対象扶養親族)に基づいて定められます(「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していない、前月の給与がない、前月の給与だけが極端に高い場合を除く)。
前月の給与および扶養親族等の人数を基に、国税庁の公表している以下の資料(表)から源泉徴収される税率が分かります。
賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和3年分)
表の「賞与の金額に乗ずべき率」欄を見ます。
例えば、前月の社会保険料控除後給与が20万円、扶養親族等はいない、賞与が50万円という場合は、「賞与の金額に乗ずべき率」は4.084%です。
ボーナスから社会保険料を差し引いて、この4.084%を掛けると、所得税額が出ます。
なお、賞与に対する所得税率には、復興特別所得税も含まれています。
復興特別所得税の税率は所得税の2.1%ですから、上の例ですと所得税率自体は4%、復興特別所得税は0.084%となります。
過去は税金が安かった?
これは、賞与から引かれる金額が少なかった、という意味では事実です。
ただし、税金が安かったのではなく、社会保険料が差し引かれていなかったためです。
2003年4月から、社会保険(健康保険と厚生年金)は「総報酬制」が導入されました。
毎月の給与のみで社会保険料を計算するのではなく、ボーナスを含めた年間の総報酬をベースに社会保険料を計算するように変更したものです。
ただ、ボーナスから保険料が引かれる代わり、毎月の給与にかかっている保険料率は低くなっています。
具体的には、
厚生年金保険料…総報酬制導入前:17.35%→総報酬制導入後:13.58%
健康保険料…総報酬制導入前:8.5%→総報酬制導入後:8.2%
と変わっています。
ボーナスの所得税率を下げても意味がない!
ボーナスから引かれる金額は、できるだけ少なくしたいですよね。
まず思いつくのは、税金を少なくすること。賞与に対する所得税は、前月の給与額で決まります。
所得税を節税するには、前月の給与をあえて下げればよいということになります。
たとえばボーナス支給月の前月は極力残業しないようにして、残業手当分を減らす。こうすれば、所得税率を下げられるかもしれません。
しかしボーナスに関しては、税金よりも社会保険料の負担の方がはるかに大きいのです。
そして、社会保険料の額は賞与額そのものがベースとなるので、前月の給与額は関係ありません。
賞与から差し引かれる額の大半は社会保険料なので、所得税を節税しても、ボーナスの総額はあまり影響しないのです。
社会保険と雇用保険の保険料の考え方
ボーナスから差し引かれるものは、所得税のほかに社会保険料(厚生年金+健康保険)と雇用保険料があります。
それぞれどの程度ボーナスから差し引かれるのでしょうか。
■厚生年金保険料
差し引かれるのは一律18.30%です。
会社が半分負担しますので、労働者の負担は半分の 9.15%となります。
支給されたボーナスの額面(1,000円未満は切り捨て)に、この
9.15%を掛ければ金額がわかります。例えば支給額が500,000円なら、500,000×9.15%= 45,750円 となります。
健康保険料
会社が加入している健康保険の種類によって異なります。
協会けんぽ(全国健康保険協会 管掌)と組合健保(組合管掌健康保険)があり、協会けんぽの場合は都道府県によっても料率が異なります。
協会けんぽの東京都の場合は9.87%で、労働者はその半分の4.935%を負担します。組合健保は単独の企業や、同業種で複数の企業が共同して設立する健康保険組合です。
保険料は組合によって異なるので、詳細は会社の健康保険等の担当部署か、組合に直接確認 しましょう。
介護保険料
40歳から64歳までの人は介護保険第2号被保険者となり、健康保険料のほかに介護保険料 を負担します。
料率は全国一律1.79%で、労働者負担はその半分の0.895%の負担です。
※厚生年金や健康保険の保険料は上限設定がされています。
雇用保険料
令和2年度の労働者負担料率は0.003%です。額は少ないですが、失業給付をもらうなど、 いざという時のために必要な保険料です。
ボーナスから差し引かれる額、手取り額をシミュレーションしてみましょう。
40代独身(扶養親族なし)
ボーナス50万円
前月の給与は20万円(社会保険料を差し引いた額)の場合
①厚生年金保険料:50万円×9.150%=4万5,750円
②健康保険料:50万円×(9.87%÷2)=2万4,675円
③介護保険料:50万円×(1.79%÷2)=4,475円
④雇用保険料:50万円×0.3%=1,500円
⑤社会保険料の合計(①~④の合計):7万6,400円
⑥所得税:(50万円-7万6,400円)×4.084%=1万7,299円
控除額合計:(⑤+⑥):9万3,699円
手取り額:50万円-9万3,699円=40万6,301円
まとめ
計算してみると、思いの外たくさん引かれてしまうことが分かりますね。
ボーナスを使う計画がある人は、手取り額を意識して計画を立てるようにしましょう。
使わずにとりあえず貯金する、という人も多いようですが、ただ預けておくのではなく、少しでも増やしたいですよね。
投資というとこわいとか難しそうというイメージもありますが、少額から気軽にできるものもあります。
例えば「つみたてNISA」は、積立投資専用の「NISA(少額投資非課税制度)」で、2018年から始まりました。
つみたてNISAには次のような大きな魅力があります。
NISAのメリット
・得られた利益は非課税。非課税期間は最長20年
・少額から始められる。100円/月というものもあり。
・決まったタイミングでこつこつ買い付けるから簡単
・いつでも換金できる
・2024年から「新NISA」が始まり二階建て制度になり年間の投資上限金額が上がる。
もちろんデメリットもあります。
あくまでも投資信託なので、預金のように元本保証はされていません。
少額から少しずつ始めて、金融についても勉強したり、楽しみながら増やせたら理想的ですね。