日銀、ETF売却を決定——完了まで100年以上？ その背景と日本経済への影響を徹底解説

FAQ｜日銀ETF売却の"なぜ"？

• Q.1 なぜ日銀はETFを100年もかけて売却するのですか？

  A. 日銀は、株式市場に大きな影響を与えないように、極めて慎重なペースで売却を進めるためです。保有するETFは時価で約80兆円あり、これを一気に売ると株価が大きく下落するリスクがあります。
  
  年間3,300億円（簿価ベース）という小規模なペースに抑えることで、市場の需給バランスを崩さず、通貨と金融システムの安定を保ちながら時間をかけて処理していく狙いがあります。

• Q.2 ETFを売ると株価は下がるのでは？

  A. 短期的な影響はほとんどありません。年間の売却額は東証プライム市場の売買代金の約0.05％にすぎず、通常の取引で十分に吸収できる規模です。また、日銀は市場が不安定な時には売却を一時停止または調整できる仕組みを持っています。そのため、「売却による株価の急落」は起きにくい構造になっています。

• Q.3 日銀がETFを買った理由は何ですか？

  A. もともとは「デフレ脱却」が目的でした。2013年から始まったアベノミクス政策のもと、日銀は株価を下支えし、企業や投資家の心理を安定させるためにETFを購入しました。
  
  これにより、企業が資金調達しやすくなり、雇用や賃上げにつながる効果を期待していました。しかし、10年以上続いた結果、副作用（市場機能の歪み・ガバナンス低下・財務リスク）が拡大し、今回の売却決定につながりました。

• Q.4 この売却は日本経済にどんな影響がありますか？

  A. 短期的なマイナス影響は限定的ですが、中長期的には市場の健全化と企業統治の改善が期待されます。日銀という「物言わぬ大株主」が減ることで、民間のアクティブ投資家が企業経営により積極的に関与できるようになり、資本効率や株主還元の意識が高まります。また、日銀のバランスシートが健全化することで、通貨（円）への信頼も強化されます。

  💡 企業のガバナンス改善は、長期的に日本株の魅力を高める要因となります
• Q.5 この方針は今後変わる可能性がありますか？

  A. あります。日銀は「市場環境に応じて柔軟に対応する」と明言しています。たとえば株式市場が急落した場合、一時的に売却を止めることも可能です。
  
  逆に、経済が安定し、株価が堅調であれば売却ペースをやや早める可能性もあります。つまり、100年というのはあくまで目安であり、実際のスピードは日本経済や市場の状況次第で変動します。

  ⚠️ 売却方針の変更は、日銀の金融政策決定会合で発表される可能性があります