出典:JSL
この記事の目次
はじめに
食料品や日用品を購入するときにフェアトレードと表示されている商品を見たことはありませんか?
意識的にフェアトレード商品を購入している方や、どういった商品なのかイメージはできるけど具体的に何がいいのかわからない、といった方もいらっしゃるかと思います。
この記事では、いま市場で広ありつつあるフェアトレードについて解説していきます。
フェアトレードとは
出典:Sustainable Japan
フェアトレードを直訳すると、公正・公平な貿易です。
なんとなくイメージはできるけど具体的にどこがどのようにフェアなのでしょうか。
まずはフェアトレードの反対のアンフェアなトレードから考えてみましょう。
アンフェアなトレードとは
私たちが生活している日本は資本主義社会です。
世界の中の先進国と言われている国は資本主義社会であり、資本主義の市場では価格競争が行われています。
消費者が高品質で低価格な商品を求めるのは当然のこと。
そして利益を上げたい販売者は、商品を少しでも安く仕入れるために生産コストを下げる努力をします。
生産コストを下げるために行き着くところは、生産者の過酷な労働環境です。
過酷な労働環境とは、低賃金や児童労働など人権が守られないような搾取構造です。
先進国や大量消費国のために発展途上国の労働力が搾取されているアンフェアな現実があるのです。
フェアトレードとは
発展途上国の生産者には、人間らしくより良い生活ができるように適正な賃金と労働環境が必要です。
そのためには原料や生産工程、流通過程を見直して適正な価格での貿易が行われなければなりません。
これがフェアトレードの考え方です。
フェアトレードの歴史
フェアトレードの始まりは1940年代までさかのぼります。
アメリカのNGO団体によって、中南米のプエルト・リコの手工芸品をアメリカ本国で販売したことが最初の試みとされているようです。
その後1950年代になると、ヨーロッパでもフェアトレードが浸透していき、対象の商品はコーヒー豆やカカオなどの食品をはじめ、衣類や雑貨にも広まっています。
日本では1970年代から広まり始め、1980年代に国内初めてのNGO団体が設立されています。
フェアトレードが広まった背景は
アンフェアトレードが広まったのは奴隷貿易が原因となっています。
そしてフェアトレードが広まった背景には、先進国の消費者の関心が生産者の過酷な労働環境に意識が向くようになったからです。
報道番組などを通じて、途上国で行われている児童労働や低賃金での労働で生活もままならない生産者の姿を知った消費者の関心が高まったのですね。
フェアトレード商品を購入することの社会的な意義
消費者として経済的なメリットだけを追求すると、低価格で高品質な商品を求めてしまうのは当然のことです。
しかし、消費行動の中に社会的な意義を見いだすことで途上国の労働環境の改善に貢献することができます。
子どもの生活環境を守る
世界では学習の機会を与えられないまま、幼少期から労働力として働かされている子どもたちが多くいます。
フェアトレード商品を購入することで児童労働から解放される子どもたちが増えるのです。
生産者の労働環境の改善につながる
適正なコストをかけて生産・流通された商品を購入することでそこに携わる労働者の賃金も適正なものになります。
そのことが生産者の労働環境の改善につながります。
フェアトレードの課題や問題点
フェアトレードはメリットだらけのように思えますが、課題や問題点も残っています。
法的な基準・根拠がない
フェアトレードには法的な決まりがありません。
ですので各団体がそれぞれの基準を設けてフェアトレードに取り組んでいます。
大多数が健全な団体や企業ですが、中にはフェアトレード商品ではないのにフェアトレードをうたったものも。
私たち消費者もこれらを見分ける知識が必要かも知れません。
価格が高くなりがち
特に日本ではフェアトレード商品は割高になっているようです。
原材料や生産コスト、流通コストが適正な価格で取引されているのでこれは仕方のないことかも知れません。
ですが、フェアトレードのライセンスを表示することでロイヤリティが発生するケースもあり、その分が価格に反映することも。
利権構造ができてしまうとせっかくの素晴らしい取り組みも本末転倒で終わってしまいます。
途上国の根本的な貧困
アンフェアトレードが広まってしまった原因のひとつには、過酷で低賃金な仕事でも、それを受け入れなければ生活していくことができない状況があることです。
まとめ
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
この記事では公平で公正な貿易、フェアトレードについて紹介しました。
私たちは消費者でもありますが、大多数の方は労働者でもあります。
フェアトレード商品を購入することで、回りまわって私たち自身の労働環境を守ることにつながるかも知れません。
みなさんもフェアトレードに関心を向けてみてはいかがでしょうか。