我々の生活は、新型コロナウイルスの到来により大きな変化を遂げました。人々との距離が離れるようになり、仕事でもリモートワークが普及します。3年程度の時が過ぎ、新型コロナウイルスは次第に終焉へ向かいつつあります。
しかし、IT企業ではこの動きにより相次いで人員削減を発表しました。この記事では、IT企業の人員削減の実態と我々の生活に与える影響を解説します。
この記事の目次
IT企業の人員削減
新型コロナウイルスが終焉しつつあるなか、IT企業では相次いで人員削減が行われています。1万人以上が退社を迫られるケースもあり、業界が大きく変わっているといえるでしょう。実態をつかむために、ここでは代表的な企業を取り上げます。
Microsoftで1万人の人員削減(※1)
WordやExcelなどのツールでおなじみのMicrosoftでは、1万人の人員削減を実施すると発表されました。ニュースになった時期は2023年1月18日であり、世界中の注目を集めています。人員削減に至った理由は、景気後退の予測から成長の鈍化を感じ取ったためです。
Microsoftは、2022年6月時点では従業員数が22万人を超えました。日本人の従業員もいますが、今回の人員削減で5%が解雇の対象となります。加えて、人工知能への投資には引き続き力を入れる予定とのことです。
Amazonでは1万8,000人のリストラ(※2)
GAFAの1つとして有名なAmazonでは、1万8,000人がリストラの対象になりました。今後の状況によっては、さらなるリストラも起こりうると考えられています。Amazonがこのような対策を講じた理由は、新型コロナウイルスにも大きな影響があります。
新型コロナウイルスの到来により、IT企業の株価は全体的に高騰しました。しかし、アメリカは一時的な物価高騰への備えとして金融引き締めを行います。この対応が株価の暴落を起こし、Amazonに不利な状況を招いたとされています。
Salesforce(セールスフォース)で10%削減(※3)
アメリカの有名なIT企業であるSalesforce(セールスフォース)は、人員を10%削減すると表明しました。当該企業は、新型コロナウイルスが到来した際に従業員を数多く採用しました。会社の売上が著しく伸びたためです。
しかし、新型コロナウイルスが終焉に向かっており、現状では営業利益に支障が出ると判断しました。人員削減を行うことで、2026年までに営業利益率25%を目指す方針です。
コロナ前と現在の有名企業の人員比較
新型コロナウイルスの到来前と最新において、各企業の人員規模の変化を表で整理します。
企業名 | コロナ前
(2019年) |
最新 | 削減数(予定) |
Microsoft | 約14万4,000人(※4) | 約22万1,000人
(2022年6月)(※5) |
約1万人 |
Amazon | 約79万8,000人(※6) | 約150万人
(2022年9月)(※7) |
約1万8,000人 |
Saleforce | 約4万9,000人(※8) | 7万9,824人
(2022年10月)(※9) |
約8,000人 |
いずれの企業も人員削減が行われたとしても、コロナ前よりは従業員数が多い状態です。ただし、大幅削減には変わりないため今後の動向に注目が集まります。
これから私たちにどう影響が出るの?
新型コロナウイルスの終焉で、多くのIT企業が人員削減の戦略を採用しています。同じ業種の企業に勤めていなくとも、この動きは我々の生活にも影響を与えるでしょう。今後の考えうる変化について詳しく紹介します。
IT企業の人員削減は景気後退の予兆?
IT企業の人員削減は、景気後退の予兆ではないかと考える方もいます(※10)。上述したとおりAmazonの大量リストラでは、FRB(アメリカの中央銀行)の金融引き締めに左右されました。金利の引き上げは、一般的に株価の下落を招きます(※11)。Amazonもまた例外ではありません。
株価が下落すれば、単純に株の価格が下がるため資金の調達も難しくなります。Amazonのように影響力の強い企業が経営に苦しめば、経済全体にも少なからず支障が出るでしょう。こうした要因により、景気後退のリスクもあるのではと予想されています。
IT株の反発につながるという声もある(※12)
反対に、大規模な人員削減はIT株の反発に繋がるといった声もあります。MicrosoftやAmazonが人員削減を発表した際、アルファベットやネットフリックスの株価が高騰しました。これらの現象から、今回のIT企業の動きは肯定的に捉えるべきともいわれています。
IT業界に投資をしている方は、今後の値動きにも注目しなければなりません。なるべく損失を招かないように、さまざまな情報を集めましょう。
新規事業の開拓のきっかけになる可能性も
大手IT企業が人員削減したことで、経験豊富な人材が他の企業に移ります。なかには独立し、自分で事業を行う方もいるでしょう。
こうした動きにより、新規事業の開拓につながる可能性もあります。近い将来、GAFAのような大手企業が現れるかもしれません。IT企業に投資をしているのであれば、これから成長しそうな企業にも注目しましょう。
http://research-online.jp/all/economy/15540/
http://research-online.jp/all/economy/15383/
http://research-online.jp/all/economy/15006/
まとめ
今回は、新型コロナウイルスの終焉によるIT企業の大規模な人員削減を解説しました。大手企業で大量のリストラが起こると、どうしても経済が停滞するのではと不安に感じてしまいます。しかし、必ずしも負の側面だけが残るわけではありません。
IT企業株の反発や新規事業の開拓など、新たなチャンスが生まれるきっかけにもつながります。今後も数々の情報に目を通すことがおすすめです。株などの投資で資産を増やしたい方は、リサーチ・オンラインへお問い合わせください。