2022年10月に、地震保険料が全国平均で0.7%の引き下げとなりました。(※1)地震大国日本で暮らす以上、地震保険について気になっている人も多いのではないでしょうか。
このタイミングで改めて地震保険の加入を検討する人もいるでしょう。本記事では、地震保険についてわかりやすく解説しますので、参考にしてください。
この記事の目次
地震保険とは?
地震保険は、地震・噴火・それらによる津波(以下、地震等)が原因で住宅に被害が生じた場合に、保険金が受け取れるものです。具体的な被害は次のとおりです。
- 火災
- 損壊
- 埋没
- 流出
一般的な火災保険に入っていても、地震等による損害が生じた場合は補償の対象になりません。別途、地震保険への加入が必要となります。
地震保険料
地震保険料は「建物構造」と「都道府県別」で基本料率が決まります。
地震保険料の基準料率は、損害保険料率算出機構が算出しています。各損害保険会社はこの基準料率で保険料を算出するため、保険会社が違っても保険料は変わりません。
条件が合えば以下の割引が適用可能です。ただし、割引の重複適用はできません。また、原則として割引適用のためには確認のための書類添付が必要です。
割引の種類 | 割引率 |
免震建築物割引 | 50% |
耐震等級割引 | 耐震等級3:50%
耐震等級2:20% 耐震等級1:10% |
耐震診断割引 | 10% |
建築年割引 | 10% |
保険金額
地震保険は、主契約である火災保険金額の30~50%の範囲内で任意に決められます。ただし、上限は次のとおりです。
- 建物:5,000万円
- 家財:1,000万円
保険期間
地震保険は最長で5年間加入できます。ただし、主契約である火災保険の保険期間により契約可能な保険期間は異なる点は把握しておきましょう。
保険金の支払いについて
地震保険金の支払い方法は、被害状況を4区分にわけて行われます。
被害状況 | 保険金額割合 |
全損 | 100% |
大半損 | 60% |
小半損 | 30% |
一部損 | 5% |
地震保険は1回あたりの地震につき、政府と損害保険会社全体が支払う保険金に総支払限度額が設定されます。2021年4月現在、地震1回あたりの総支払限度額は12兆円です。
万が一算出された支払保険金総額が限度額を超える場合は、その割合に応じて支払われる保険金額が削除される場合があります。
なお、東日本大震災発生の際に支払われた保険金の総額は約1兆2000億円でした。(※3)
地震保険の契約方法
地震保険への単独への加入はできません。住宅用の火災保険を主契約とし、付帯保険としてのみ加入できます。
既に火災保険に加入している場合、途中からでも地震保険の追加が可能です。
地震保険に入ったほうがいい理由
地震保険料率が全国平均で下がったとはいえ、地震保険料は必ずしも安いとはいえません。そのため、加入するかどうか迷う人もいるでしょう。
ここでは、地震保険に入った方がいい理由についてみていきます。
地震被害に合うと高額な自己負担が必要
地震などの大きな自然災害が発生した際、被災者に対する公的支援が行われています。しかし、それだけでは住宅の再建には足りません。そのため、自分でも備えが必要です。
例えば、東日本大震災が起きて住宅が全壊の被害を受けた場合、住宅新築費用は約2500万円でした。それに対し、実際に被害者が公的資金や共助などで受け取れた額は約400万円です。(※4)
そのため、不足分を貯金等の手持ち資金で補うのが難しい場合、地震保険への加入 を検討しておいた方が安心です。
地震発生リスクが高い
日本は世界でも稀有な地震大国です。それは、日本列島の周りに4つのプレートがあり、それぞれがぶつかり合っていることが原因です。
国土交通白書2021によると、現在、M8~9クラスの南海トラフ地震が30年以内に発生する確率が70~80%と予測されています。さらに、M7程度の首都直下地震が30年以内に発生する確率が70%程度と予測されています。(2021年1月13日現在)(※5)
このように地震発生リスクがとても高いため、地震保険を含め可能な限りの地震対策は施しておいた方がよいといえるでしょう。
地震による火災は火災保険の対象外
火災保険に入っていると、火災に対する補償は十分だと考えている人もいるでしょう。しかし、地震等による火災は火災保険の対象とならないため注意が必要です。
地震による火災や地震由来の津波による水害に備えるためには、地震保険への加入が欠かせません。
http://research-online.jp/all/property/14690/
http://research-online.jp/all/property/14447/
http://research-online.jp/all/property/14217/
まとめ
2022年10月、地震保険料率が全国平均で引き下げられました。このタイミングで、地震保険の加入について改めて検討している人もいるでしょう。地震保険は単独で加入できないため、必ず火災保険の付帯保険としなければなりません。
万一地震が起き、住宅に被害が生じた場合多くの自己負担が必要です。火災保険に加入している場合は、いつでも地震保険を付帯保険として付けることが可能です。この機会に手持ちの火災保険・地震保険を見直してみてはいかがでしょうか。
なお、保険を見直す際には、同時に資産全体の見直しを行うと資産全体のバランスが把握できます。リサーチオンラインでは、資産運用に関する相談を承っています。資産運用に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。