通常、株式投資や投資信託で得た利益には約20%の税金がかかります。しかし、NISA制度を利用すると、税金はかかりません。利益を全額受け取れるお得な制度です。
金融庁の利用状況調査(※1)によると2021年6月末現在、合計で1,654万8428口座が開設されており、人気の高さがうかがえます。
本記事では2024年からスタートする新NISAとつみたてNISAについて解説します。どちらが適しているかわからず利用をためらっている方は、参考にしてください。
新NISAとは
「一般NISA(2024年からは新NISA)」と「つみたてNISA」は併用できないため、どちらか片方を選択しなければなりません。
新NISAの最も大きな変更点は「2階建て制度」の導入です。次のように変わります。
一般NISA | 新NISA | |
非課税投資枠 | 年120万円 | 年122万円 1階部分:年20万円 2階部分:年102万円 |
投資可能期間 | 2023年まで | 2024年~2028年 |
投資対象商品 | 上場株式・投資信託・ETF・REIT等 | 1階部分: つみたてNISAと同じ商品のみ 2階部分:上場株式・投資信託・ETF・REIT等 |
一般NISA口座を持っている場合、2024年からは自動で新NISAへと移行します。
1階部分はつみたてNISAと同じ商品のみ購入可能です。1階部分を購入しないと2階部分の利用ができません。ただし、20万円の枠を限度いっぱいまで使い切る必要はなく、少額でも1階部分の積み立てを利用すれば、2階部分の投資を行えます。
例外としてそれまでに投資経験がある場合は、1階部分を利用せず2階部分のみ利用できます。2024年以降は、レバレッジを効かせた投資信託や、上場株式のうち整理銘柄・管理銘柄への投資はできなくなる点を把握しておきましょう。
2階部分は現行と同様、最長5年間の非課税期間です。1階部分は期間終了後につみたてNISAへの移行(ロールオーバー)が可能になります。
つみたてNISAとの違い
ここからは、つみたてNISAとの違いをみていきましょう。
現行との変更点は1つだけです。口座開設可能期間が2042年までと、5年間延長されました。そのため、2022年に開始した場合、最大20年の積み立てが可能になります。
新NISA | つみたてNISA | |
非課税投資枠 | 年122万円 1階部分:年20万円 2階部分:年102万円 | 年40万円 |
投資可能期間 | 2024年~2028年 | 2042年まで |
投資対象商品 | 1階部分: つみたてNISAと同じ商品のみ 2階部分:上場株式・投資信託・ETF・REIT等 | 国が定めた基準を満たした長期運用向けの投資信託のみ |
目的やライフスタイルに合わせて選択しよう
二つのうち、どちらを利用するか迷っている人は少なくありません。それぞれの目的やライフスタイルに合ったものを選択しましょう。
新NISAが向いている人
株式投資は投資信託と比較すると値動きが激しく、ハイリスク・ハイリターンです。そのため、値上がり益として一度に大きな利益を狙いたい人には新NISAを利用した株式投資が向いています。株主優待を利用したい人も新NISAを選択しましょう。
株式投資に使える2階部分の投資可能期間は2028年に終了します。より長い期間の非課税投資も合わせて考える場合は、1階部分の積み立ても同時に行うとよいでしょう。終了後、つみたてNISAへロールオーバーできます。
つみたてNISAが向いている人
株式投資を行う場合、自分で銘柄を1つずつ選ばなければなりません。銘柄選択の時間やコストがかかることが想定されます。
そのような時間が取れない場合、対象商品が限定されているつみたてNISAが最適です。一度設定すれば毎月自動で積み立てを行うため、そのつど投資先を考える手間やコストを省けます。
投資可能期間が2042年までと長いので、将来のために少額ずつコツコツ積み上げたい人に向いています。長期投資を行うことで、安定した運用成果が期待できます。
年40万円(月約33,333円)を20年間積み立てると、非課税投資枠は最大800万円となる点も見逃せません。
これまで、一度も投資経験がなくどちらにするか決めかねている場合は、手軽に始められるつみたてNISAを検討してみましょう。証券会社によっては、月に100円や1,000円といった少額からの積み立ても選択できます。投資に不安を感じる場合は少額からはじめ、効果を感じた後で増額してもよいでしょう。
まとめ
2024年より、今の一般NISAは新NISAへと移行し2階建てになります。新NISAで積み立てた1階部分は期間終了後、つみたてNISAにロールオーバーできる点がポイントです。
投資初心者の場合、一度設定すればその後は自動で投資継続できるつみたてNISAが向いています。非課税で投資できるお得な制度をまだ一度も利用したことがない方は、この機会に始めてみてはいかがでしょうか。