ウクライナ情勢や中国による台湾侵攻の背景により、日本では防衛費の増額が検討されています。岸田政権は防衛費の増額を増税で対処する考えであると表明しました。
この発言が日本国民の間でも大きな議論を呼んでいます。ここでは、防衛費の増税について解説します。我々の生活費に多大な影響を与える可能性があるため、今後の情報もしっかりとリサーチしましょう。
この記事の目次
防衛費増税
では、なぜ防衛費を上げるために増税が検討されているのでしょうか。岸田総理は、この目的についても自身の考えを述べています。周囲の議員からの賛否も踏まえ、内容を具体的に解説しましょう。
防衛費増額を増税で対応する目的
防衛費の増額を増税で対応する目的は、財源を確保するためです(※1)。税金を納めてもらえれば、一定の額を集められます。大きな額を稼いでいる個人や法人は納税額も高くなるため、国にとっても財源として利用しやすいでしょう。
無論、増税以外にも国債を発行する方法があります。しかし、財務省が「幅広い税目による国民負担が必要」と方向性を示しました(※2)。安倍元首相は国債による対応を検討していたものの(※3)、岸田政権下では増税で対策が講じられます。
増税における賛否
防衛費のための増税に関しては、否定的な声も少なくありません。国民にとっても、増税は生活への負担が大きくなるからです。与党内では、高市早苗氏が反対の意を唱えています。
2022年12月13日の記者会見では、来年の春闘も経てから検討すべきと述べました(※4)。あわせて、「罷免されるなら仕方ない」とも説明しています。
加えて、高橋洋一教授も増税ではなく国債で対応すべきだと批判しました(※5)。なお、時事通信によると国民の世論調査は以下の結果になったそうです。
- 防衛費以外の予算削減…38.1%
- 国債発行…27.1%
- 増税…22.2%
今後の政策にこれらの意見がどう反映されるかに注目が集まります。
どのくらい増えるの?
つづいて、防衛費を増税することで負担がどのくらい増えるかを解説します。我々の生活にとっても、納税額は注目したいポイントのひとつです。情報を把握しつつ、これからのお金の使い方に注意しましょう。
足りない防衛費の額
防衛費に関しては、2027年までに43兆円までに増額させる見込みです(※7)。ちなみに、令和4年度の当初予算においては、約5兆4,000円が計上されました(※8)。このまま政策を進めた場合、防衛費の増額で足りない金額は1兆円程度とされています(※9)。
これらの原因はロシア・北朝鮮・中国との安全保障問題にあります。ウクライナ情勢も重なり、国際社会に不安な状態が続いている点も要因のひとつです。
増税の対象となる種類
増税の対象となる種類は大きく分けて3つあります(※10)。
- 所得税
- 法人税
- たばこ税
しかし、いずれも具体的な案はまだ検討段階です。どの程度負担が増えるかは明確にいえないものの、2022年12月17日現在の状況を説明しましょう。
所得税
今回の防衛費増税では、所得税の中でも「復興特別所得税」が対象となります。復興特別所得税は、元々東日本大震災からの復興に備えるために設立された税制度です。2037年までの納税と期限があり、通常の所得税の2.1%分が上乗せされます(※11)。
防衛費増税に伴い、岸田内閣は2,000億円を所得税から活用するという案を出しています(※12)。本来の復興予算を削らないよう、納税期間を約20年引き延ばす予定です(※13)。
法人税
法人税は、納税額に対して4%〜4.5%の付加税を課す見込みです(※14)。7,000〜8,000億円を法人税から確保しようと政府は考えています(※15)。
ただし、納税額のうち170万円までは上乗せされません(※16)。中小企業の負担を軽減させるためです。
たばこ税
商品を購入した消費者が納税する間接税では、たばこ税のみが増税の対象とされています。実際には国税と地方税があるものの、前者のみで考えるとたばこ税の額は下記のとおりです。(20本入り(※17))
税の種類 | 納税額 |
たばこ税 | 136.04円 |
たばこ特別税 | 16.40円 |
合計 | 152.44円 |
2022年12月16日のNHKのニュースでは、たばこ税は1本あたり3円程度の増税を段階的に行う予定と報じられました(※18)。
一般市民に増税による影響はどのくらいあるの?
最後に、防衛費のための増税が与える影響について説明します。場合によっては、将来の増税に備えるべく早めの対策が必要です。ここで紹介する内容もある程度押さえておきましょう。
増税したらたばこの購入額が上がる
上述したとおり、防衛費増税が実現したらたばこは1本あたり3円程度高くなる予定です。単純に計算すれば、20本入っているケースは60円値上げします。
無論、今後の政策次第では金額が変動する可能性もあります。とくに喫煙者は、国の議論がどのように進むかをチェックしましょう。
収入に影響する可能性も
たばこ税に加えて、所得税と法人税の引き上げが検討されています。つまり、増税が我々の収入に影響を与えるケースも想定しなければなりません。
法人税の引き上げ自体は、特に給料を左右しないでしょう。賃上げすると、基本的には法人税が控除されるからです(※19)。しかし、復興特別所得税の納税期間は増えます。税負担を考えると、実質的に収入が低くなる可能性も考えられます。
http://research-online.jp/all/asset/15251/
http://research-online.jp/all/save/13484/
http://research-online.jp/all/economy/14645/
まとめ
今回は、防衛費増額に伴う増税を解説しました。増税案は先送りが検討されており、今後も具体的な内容が変わる可能性もあります。そのため、しっかりとニュースを見て日々の動向を捉えることが大切です。
場合によっては、税金対策を一から考える必要があります。税金対策のご相談は、リサーチ・オンラインへお問い合わせください。